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【変わる水泳の授業】児童はスイミングスクールへ プロの指導で水と触れあう 教員の負担も軽減 福岡 

2024年6月14日 18:31
【変わる水泳の授業】児童はスイミングスクールへ プロの指導で水と触れあう 教員の負担も軽減 福岡 
変わる水泳の授業

福岡県筑後市の歴史ある小学校で14日、ユニークなプール開きが行われました。一方、これまで学校のプールで行われるのが一般的だった水泳の授業を、民間に委託する動きが広がっています。その理由とは。

■占部晃太朗記者
「きょうからプール開きとなったこちらの小学校。子どもたちがプールの中で乗っているのは、大きな桶(おけ)のようなものです。」

福岡県筑後市の古島小学校で子どもたちが乗っているのは木でできた桶、「はんぎり」です。

「はんぎり」はかつて、ヒシの実取りに使われていました。地域の伝統を知ってもらおうと、古島小学校では46年前から「はんぎり」を使ってプール開きをします。

116年の歴史がある古島小学校ですが、子どもの減少などで来年3月に廃校になることが決まり、このプールで「はんぎり」を見ることができるのはこれが最後となりました。

■児童
「楽しかったです。先生も乗っていておもしろかったし、自分が乗れて一人でこげたからよかった。」
「少し寂しいけれど、次の新しい小学校で、古島小学校でははんぎりをやっていたというのを伝えられたらいいなと思います。古島小学校での一番の伝統。」

■日高大輔校長
「子どもたちは来年度の4月から新しい学校で頑張っていくわけですが、この地域の良さもその学校の中にしっかりと持って行ってくれたらいいなと思っています。」

一般的には学校のプールで行われている水泳授業ですが、今、ある変化が起きています。福岡市西区の壱岐東小学校では。

■壱岐東小学校・柳田竜太郎教頭
「こちらは機械室です。プールの消毒用の薬剤を常設したり、濾過(ろか)機の掃除をする機械があるところです。」

福岡市によりますと、壱岐東小学校のプールは老朽化が進み建て替えには一般的に数億円かかるとみられています。そのため、2022年から学校のプールでの水泳授業をやめました。

水泳授業のため、子どもたちが向かった先は近くのスイミングスクールです。

■阿部まみフィールドキャスター
「子どもたち、楽しそうに泳いでいますが、その両脇で見守っているのは学校の担任の先生たちです。いま指導を行っているのは、スイミングスクールの先生です。」

福岡市では2022年度からモデル事業として、学校のプールで水泳授業を行わずスイミングスクールなどに委託する取り組みを始めています。この取り組みは、福岡市内の小学校146校のうち3校で始まっていて、今年度もう1校追加されました。

この取り組みが始まった背景には学校現場を悩ませる、ある理由がありました。

■6年生の担任・金川祐太朗 教諭
「学校だと衛生管理上の薬の管理・水の管理があるので、だいたい1日20分~30分を割く。それがないだけでもありがたいですし、プロに教えてもらっているのが担任としてもうれしいと思います。」

教員たちはプールを使用するための掃除や点検、さらに授業前後の水質検査など負担が大きかったといいます。メリットは教員たちだけではありません。

この学校の水泳授業では、2つの学年の子どもを2人の教員が指導していました。スイミングスクールでは4つのグループに分けて6人のプロのインストラクターが指導し、子どもたちは泳ぎを上達させているということです。

■児童
「泳ぎ方がこうした方がもっと進むよとか教えてくれるので、こっちの方が早い。」
「ここは屋根があるからあんまり暑くないけれど、学校は屋根がなかったからめっちゃ暑かった。」
「室内だから、こっちの方が僕は好きかな。」

さらに、新型コロナで水泳授業が行えなかったことで、子どもたちの泳ぐ力に差が生じていましたが、その改善にもつながっているようです。

■ベストスイミングクラブ・小石原 努さん
「水が怖いお子様が多いなという印象。(新型コロナで)海やプールに行けなかったというのはあるのかなとは思います。水に触れあうきっかけが何かあれば、違ったとは思うのですが。」

プールの老朽化などから変わり始めた学校での水泳授業。近くにスイミングスクールがあるかなど課題はあるものの、学校での水泳授業の見直しが進められています。