【密着】ライドシェア初日 ドライバーデビューの63歳は戸惑いも 知らずに呼んだ人「ベンツでラッキー」 タクシー会社「呼んだらすぐ来る街に」 福岡
一般のドライバーが自家用車を使って有料で客を運ぶ「ライドシェア」、12日、福岡でも運行がスタートしました。タクシー不足の解消を目指す新たなサービスの初日、事故などはありませんでしたが、ドライバーや乗客に戸惑いはあったようです。
■中村安里フィールドキャスター
「午後4時を過ぎました。福岡でもライドシェアが始まりました。私のアプリでもライドシェアが選択できるようになりました。」
12日からライドシェアを始めたタクシー会社のひとつ、福岡市南区の五十川タクシーです。
■小泉浩人さん(63)
「シートをかぶせてマットを置いて、これだと外して洗えるので。」
ドライバーとしてデビューの日を迎えたのは、小泉浩人さん(63)です。ライドシェアを始めるにあたり、愛車のシートカバーやマットを新調しました。
熊本県出身の小泉さんは6年前に福岡に来て、現在はガソリンスタンドに勤務しています。
■小泉さん
「生活が少しでも安定すればと思いまして。」
日本版ライドシェアはタクシー会社が運行管理やドライバー教育を行い、プロの運転手ではなく一般のドライバーが自家用車などを使って有料で人を運ぶサービスです。
運行できる曜日や時間帯は限定されていて、福岡では月曜日から木曜日が午後4時台から午後9時台などとなっています。
■タクシー会社の人
「気をつけてお願いします。」
■小泉さん
「行ってきます。」
出発前の点呼を終え、小泉さんの初日がスタートしました。
■小泉さん
「来た、来ました。」
スタート早々、続々と依頼が入ってきます。夕方で交通量が多いなか、安全運転で乗客を送り届けます。
ライドシェアの仕組みを知らずに乗車した人もいました。
■20代
「ライドシェア、なんだろうって思いながら、とりあえず呼んだ感じ。ベンツだったんでラッキーだなと思いながら乗りました。」
FBSが調べた結果、12日は五十川タクシーを含め少なくとも5つのタクシー会社がライドシェアを始めていて、運行台数は合わせて10台でした。
街なかでライドシェアの車を探してみると。
■鬼丸ゆりか記者
「いま、ライドシェアと書かれた車が走行している。」
午後6時から10時の間に、中洲や博多駅周辺などで3台の車を目撃しました。
■市民
「気づかなかった。」
「きょうからというのは知らなかった。見ていないです。」
初日は6時間で11組…「すみませんね」戸惑いも
サービスもドライバーも走り出したばかりです。順調に依頼が入る小泉さんにも、戸惑う場面がありました。
■小泉さん
「土地勘がないもので。ナビの見方が慣れていない。私が間違えちゃうから、お客さんに申し訳なくてですね。」
なかなか乗客を見つけられない小泉さん。ライドシェアでは事前に、乗り降りする場所を乗客が登録します。
■小泉さん
「すみませんね。」
どうにかナビに従って、乗る場所まで到着しました。慣れない目的地までの道のりもナビに頼り、送り届けることができました。
■小泉さん
「忘れ物のないようにですね。」
■乗客
「(乗る場所で)探すのは大変だった。イメージするタクシーと違うので。」
(Q乗り心地は?)
「普通のタクシーと同じくらい快適。」
午後10時すぎ。運行の終了をタクシー会社に報告します。初日は6時間で11組を乗せました。
■小泉さん
「思ったよりも大変。プロの仕事を素人がするわけですので戸惑うことが多くて。事故だけはないように。喜ばれる仕事であるならば続けていきたい。」
初日から一夜明けた13日、五十川タクシー本社を訪ねました。
■五十川タクシー・本園和大 常務
「事故なく、今のところ苦情なく終わっているので、ほっとしたというのは正直なところです。」
五十川タクシーでは12日、小泉さんの車を含め3台が運行し、合わせておよそ30組の乗客を運びました。
■本園常務
「今までタクシーが足りないと言われていたのは本当に悔しい思いをしていた。そこを日本版ライドシェアで少しでも埋め合わせができて、タクシーを呼んだらすぐ来るというような福岡の街になっていけばと思います。」
福岡県内では13日までに31の事業者がライドシェアへの参入を許可されていて、順次サービスが始まります。