この時期だけ!「グリーンレモン」糸島の新たな特産品へ バーのオーナーの挑戦 福岡
夏のイメージがあるレモン、実は秋から冬にかけて旬を迎えます。福岡県糸島市では、地域の特産品を目指すレモンの収穫が始まっていますが、この時期だけの特徴があるんです。
福岡市中央区のバーでオーナーを務める阿南文平さんが、この時期にだけ提供するカクテルがあります。11月に収穫された、レモンを使ったカクテルです。
■Bar文月 オーナー・阿南文平さん
「お待たせしました、糸島れもんのジンソニックです。」
■吉村史織アナウンサー
「レモンサワーというより、もっと清涼感のある爽やかな味がします。」
このレモン、実は。
■阿南さん
「私たちが糸島で栽培しているレモンです。」
レモンを栽培している糸島市の農園を訪ねました。
■吉村アナウンサー
「こんにちは。」
阿南さんは、同じく飲食店経営者の下登昌臣さんと共同で、新たな特産品を目指して6年前からレモンを育てています。
レモンと言えば黄色のイメージですが。
■吉村アナウンサー
「これってまだ緑ですよね。出荷前ということですか。」
■阿南さん
「いえ、先週から出荷を始めたグリーンレモンです。糸島グリーンれもん。」
■吉村アナウンサー
「グリーンレモン!」
グリーンレモンは実が色づく前の状態のことで、「糸島れもん」はこの時期から出荷を始めます。
国内で流通するレモンの多くは、海外から長時間かけて輸入され日本に届くまでに黄色くなるため、グリーンレモンは国産ならではです。収穫できるのも2か月ほどと希少です。
■吉村アナウンサー
「酸っぱい。レモンだ。でも刺激的な感じはなく、まろやか、さわやか、優しい酸味みたいな感じですね。」
グリーンレモンの希少性から、ことし2月には大手チョコレートブランド「ゴディバ」とコラボレーションした商品も販売され、少しずつ認知を広げています。
今でこそ1000本以上のレモンの木が植えられた農園ですが、元は手入れされなくなった畑が荒れ地と化した「荒廃農地」でした。
■阿南さん
「高齢化して跡継ぎのいない畑をどうしようかという話が、昔からこのエリアではあって。手を入れてない畑があると、虫とかイノシシが集まってくる。」
阿南さんは6年前、荒れた農地を借り上げ、自ら整備を始めました。ただ、借りた農地はまとまった土地ではなく、市内11か所に点在しています。場所によって環境が違うため、管理をするのは一苦労だといいます。
■阿南さん
「土地・気候・土の状態・日当たりが違うから、同じことをやっても全部うまくいくわけでもない。(この場所は)こういう手を入れた方がいいというのは、ちょっとずつ分かってきている途中。」
本格的な収穫が始まってから、ことしで3年目を迎えました。去年の4トンを超える収穫が期待される中、想定外の事態がありました。
例年であれば10月初旬にグリーンレモンの収穫が始まりますが、ことしは猛暑や降水量の少なさでレモンの成長が1か月も遅れ、不安な日々を過ごしたということです。
■阿南さん
「最終的にどのぐらいまで大きくなるか心配していましたが、他の農家さんたちに話すと『ことしのこの天候でここまでできたら十分』と。」
例年より少し小ぶりですが、無事に収穫が始まったグリーンレモンを地域ブランドとして多くの人に知ってほしいと、10月に東京で行われた食品の展示会に出展し、積極的にPR活動も行っています。
■阿南さん
「生産から加工・販売で、雇用を生んで地域を盛り上げて、6次化産業的に、最終的には輸出するぐらいの『糸島がレモンの街です』となったらいいなと思います。」
地域の課題解決を目指す糸島のレモン栽培。グリーンレモンの出荷は12月初旬ごろまでで、その後は黄色く色づいたレモンの収穫が始まるということです。
※FBS福岡放送めんたいワイド2024年11月19日午後5時すぎ放送