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続く円安 若者の間で『海外に出稼ぎ』人気に 福岡の輸入食品店からは困惑の声 

2023年10月10日 17:45
続く円安 若者の間で『海外に出稼ぎ』人気に  福岡の輸入食品店からは困惑の声 

10月10日の円相場は1ドル148円台と円安が続き、福岡で輸入食品を扱う店からは、困惑の声が上がっています。若者の間では、日本ではなく海外で働こうという“出稼ぎ”の動きも出始めています。

ふっくらこんがりと焼きあがったチヂミは、ランチで完売するほどの人気メニューです。訪れたのは、福岡市博多区にある韓国食品を扱う店です。

■阿部まみキャスター
「焼きたてのチヂミ、とてもおいしそうですが、円安の影響を受けているんです。」

■韓国食品・カン ジンクさん
「円安の影響で(卸値が)30%くらい高くなりました。」

店では、韓国から直輸入したキムチなど約200点の商品を取り扱っていますが、去年、ほとんどの商品を15%値上げしました。

円安が続いたことから、ことし6月、さらに15%の値上げに踏み切りましたが、輸入にかかるコストを吸収しきれず頭を悩ませています。

■カン ジンクさん
「今の状態はすごく厳しい。」

10月3日、1年ぶりに1ドル=150円を突破するなど、終わりの見えない円安の影響を受け、今“ある問い合わせ”が増えています。

■日本ワーキング・ホリデー協会 福岡エリアマネージャー 藤田逸郎さん
「今円安っていうのもあるので、やっぱり現地に行くと稼げるっていうことに興味を持っていただいたり。英語を使ってしっかりと稼いで、スキルアップして帰ってきたいという人が問い合わせをされている中では多いかなと。」

それは、海外で語学の勉強をしながら働くことができる『ワーキングホリデー』についてです。ことしの1月ごろと比べると、問い合わせは倍近くに増えています。

田上桃子さんは、ワーキングホリデーを利用し、去年12月から半年間、オーストラリアでネイリストとして働いていました。

■ワーキングホリデーを利用・田上桃子さん(29)
「2週間ごとにお給料もらっていたので、2週間で日本円で20万円くらいはもらえると思うので、月40万円は普通にいくと思います。」

週5日働いて、月に40万円ほどの収入を得ることができました。

■田上さん
「自分が頑張って働いたら、これだけたくさんお金もらえるんだと思ったらやっぱりうれしいので、魅力だと思います。」

9日夜に行われていたのは、今後海外に行きたいと考えている人たちが、ワーキングホリデー経験者に話を聞くことができる交流会です。

■阿部キャスター
「皆さんどうして海外で働きたいんですか?」
■参加者
「稼ぎたい!」

■ワーキングホリデー希望者(25)
「日本が出稼ぎにいく時代だと僕は思います。」

■ワーキングホリデー希望者(23)
「稼いで貯金したいです。海外に出て行かないといけないなっていう意識は芽生えたと思います、日本の経済状況を見て。」

2度目のワーキングホリデーに挑戦する人もいました。以前はカナダでワーキングホリデーを経験し、11月からはオーストラリアに行く栗山太佑さん(25)です。

カナダにいる時にコーヒーが好きになり、“バリスタ”になって自分のカフェを開くことが将来の夢になりました。

■ワーキングホリデーを利用・栗山太佑さん(25)
「物価高いんですけど、給料もその分高いので、働き出せば全然暮らしていけるんですけど、 最近は留学生も多いので、仕事探しに苦労する人も多かったと思います。」

ここ最近、ワーキングホリデー人気で、現地での仕事を見つけることに苦戦する人も出てきているといいます。

■栗山さん
「実際自分の周りの大学生とかも、結構海外志向というか、海外に一回出てみたい人も増えていると思います。」

若者たちが海外に出ていくきっかけとなっている円安の影響は、まだ続きそうです。

【人材を選ぶことができなくなる恐れも】

一方で円安は、日本国内における外国人労働者の雇用に影響を及ぼしています。

厚生労働省が発表している外国人労働者の数は、去年10月末時点で過去最高の182万人あまりです。ただ、円安が続けば給料が思うように稼げず、外国人労働者にとって日本は魅力がない国ということになってしまいます。

この状況に関して、日本国際交流センターの毛受敏浩さんは「国際的な人材獲得競争の中で日本はいま逆風にさらされ正念場だ」と話します。そのうえで「賃金面のインセンティブがなければ日本に来たいという外国人労働者は減り、これまでは日本側が人材を選ぶことができたがそれができなくなり、“人材の質の低下”につながりかねない」と指摘しています。

最終更新日:2023年10月10日 20:31