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戦後から続く「小倉焼きうどん発祥の店」も被災 また木造店舗の密集地で大規模火災 北九州市

2024年1月4日 19:37
戦後から続く「小倉焼きうどん発祥の店」も被災 また木造店舗の密集地で大規模火災 北九州市
「焼きうどん発祥の店」も被災

北九州市の飲食店街一帯で3日午後、発生した大規模な火災は、13時間がたってほぼ消し止められました。ケガ人はいませんでした。おととし、近くの旦過市場一帯で起きた2度の大規模火災を受け、対策を強化してきただけに、飲食店街や行政の関係者は落胆の色を隠せません。

3日午後4時半すぎ、北九州市中心部のビルにFBSのカメラマンが到着しました。許可を得て、屋上での撮影を行いました。

■金鐘翔カメラマン
「うわ、すごい。」

■宮原真記者
「飲食店が密集したエリアで大規模な火災が発生しています。白い煙、黒い煙が入り混じって立ち上っています。」

3日午後3時すぎ、火災の通報が相次いだのは、北九州市小倉北区魚町にある鳥町食道街の一帯です。JR小倉駅から南におよそ300メートル、歩いてわずか5分ほどの場所にあります。

鳥町食道街は太平洋戦争の終戦直後につくられたとされ、現在は長さ100メートル足らずの路地沿いに、30近い飲食店などが密集しています。

■神崎慎治カメラマン
「画面一面が赤い炎に覆われています。」

鳥町食道街にある飲食店が火元とみられ、警察によりますと、この店の関係者は「鍋から出火した」と話したということです。

■近くの店に入った客
「入った時にもう焦げ臭かったのですが、途中からゴムが燃えたような臭いになってきて、出てくださいって警察官が来て避難させられました。」

■近くの店の従業員
「焦げた臭いがずっとしていた感じで、そこから逃げてっていうのが聞こえて逃げていました。」

■奥村三枝記者
「火が!火が!」

■近くの店の従業員
「燃え移らないで、お願いだから。」

■宮原記者
「今、大きな、すごい煙が、爆発音が鳴りました。黒い煙が立ち上っています。」

消火活動が行われたにもかかわらず、火は収まるどころか勢いを増し、広い範囲に延焼しました。

通報からおよそ2時間半がたったころ、規制線の外から現場を心配そうに見つめる男性がいました。

■だるま堂店主・竹中康二さん(55)
「何回か爆発もあって、若干、煙も白くなってきたと思ったら黒煙が出てきて。なかなか鎮火は難しいでしょうね。」

鳥町食道街にある「だるま堂」の店主、竹中康二さん(55)です。

鳥町食道街の入口近くにある「だるま堂」は終戦直後に営業を始め、北九州を代表するご当地グルメ、小倉焼きうどん発祥の店として知られています。

2代目が亡くなった後、竹中さんは2020年7月に店を復活させました。

■竹中さん
「あした(4日)からオープン、年明けの営業の予定だったんですよ。」
■奥村記者
「お店の状況はまだ?」
■竹中さん
「何とも分からないです。それが一番もどかしいですね。うちの店も含めて、小倉の店はどこも気をつけてはいたと思うんですよ。まさか、こんなふうに二度あることが三度起きてしまうというのは…。」

おととし、北九州の台所として知られる旦過市場一帯では4月と8月、2度にわたり、大規模な火災が起きました。旦過市場と鳥町食道街は、400メートルほどしか離れていません。

火災の発生から一夜明けた4日午前、鎮火に向け作業が続く鳥町食道街の一帯を、北九州市の武内市長が訪れ、報道陣も規制線の内側に入ることを許されました。

■川崎直人記者
「ひどい。店の中は真っ黒に焦げてしまっています。アーケードも一部分は焼け落ちてしまっています。」

消防によりますと、焼けたのは35店舗ほどで、焼損面積は2900平方メートルに上るということです。ケガ人はいませんでした。

■北九州市・武内市長
「防火指導、査察など強化してきたところではありますが、(木造密集地域は)もちろん、ぜい弱という本来の性格があるので、その中でどういう強化をしていくのか、ずっと戦い続けなければならない。」

4日午後2時半ごろ、規制線の手前から戻ってくる男性がいました。

■だるま堂店主・竹中康二さん
「やっぱり近くには行けなかったな。」

小倉焼きうどん発祥の店、だるま堂を受け継いだ竹中康二さんです。店の状況を確認したいと申し出ましたが、重機を使った作業が始まっていて、この時点では難しいと説明されました。

■竹中さん
「先代には本当に申し訳ない。自分たちの代で閉ざしてしまったのは、本当申し訳ないなって思いますよね。せめて先代から残っているもの、表に掲げていた大きな看板であるとか、先代のおばちゃんが使ってきたヘラであるとかですね。そういうのが残っていたらですね。次、復活した時には使いたい。」

4日午後3時半ごろには、福岡県の服部知事が現場を訪れました。

■武内市長
「だるま堂は焼けてはいないのですが、水が相当かかっているので。」

服部知事たちに同行していた、だるま堂店主の竹中さんは、火災の発生から丸一日が経ち、ようやく自分の目で店の玄関を確認することができました。

■竹中さん
「小倉焼きうどん発祥の店なので、その伝統はできればこの場で残していきたいと思っていますので、またお力添えいただけたら。」

新年のスタートを切るはずの飲食店街を、あまりにも残酷な火の手が襲いました。北九州市は被災者向けの相談窓口を立ち上げ、復旧に向けた支援を進めることにしています。

改めて、3日火災が起きた場所を確認します。火災が起きたのはこちら、鳥町食道街一帯で、JR小倉駅から南に300メートルほどの場所に位置しています。

さらに南におよそ400メートルいくと、おととし2度にわたり、大規模な火災が起きた旦過市場一帯があります。

鳥町食道街一帯の火災では、発生から27時間が経過した4日午後6時の時点でも、最終的な鎮火はまだ確認されていません。

木造店舗の密集地で大規模な火災が再び起きたことを重く受け止め、被災者を支援するともに対策の見直しを急ぐ必要があります。