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またも奪われた若い命 かつて娘奪われた父は“飲酒運転ゼロ”訴え続け 「見かけたら通報」が義務 福岡

2024年1月31日 17:30
またも奪われた若い命 かつて娘奪われた父は“飲酒運転ゼロ”訴え続け 「見かけたら通報」が義務 福岡
“飲酒運転ゼロ”への思い

飲酒運転がなくなりません。再び、若い命が奪われました。ハンドルを握るすべての人が、飲酒運転ゼロへ向けた思いをあらたにしなければなりません。

福岡県大牟田市上官町の事故の現場には31日、花や飲み物が供えられていました。

■近くの人
「これからの人がね…。なかなか(飲酒運転は)なくならんけんね。」

事故があったのは、29日午後9時20分ごろです。交差点を直進していた軽乗用車と右折しようとしていた原付バイクが衝突しました。

この事故で、バイクを運転していた大牟田市三池の高校生、山下和真さん(17)が死亡しました。学校から自宅に帰る途中だったとみられています。

一方、軽乗用車を運転していた男からは基準値の4倍のアルコールが検出されました。

警察は31日、無職の井上雄二容疑者(61)の身柄を検察庁に送りました。

警察の調べに対し、井上容疑者は「自宅で焼酎のお湯割りをグラスで十数杯飲んだ。飲み終えてから15時間以上たっていたのでアルコールは抜けていると思った」と話し、容疑を否認しているということです。

飲酒運転がなくなりません。

それでも、ゼロになる日を信じて、活動を続ける人たちがいます。飲酒運転の事故に巻き込まれ、家族を奪われた人たちです。

飲酒運転事故で、大学生だった二女の三弥子さんを亡くした大庭茂彌さんは、31日、福岡県大川市の大川樟風高校で、これからハンドルを握る3年生およそ70人に、絶対に飲酒運転をしてはいけないと訴えました。

■大庭茂彌さん
「酒を飲んで車を運転するのは(運転手の)エゴなんです。ビール瓶1本で4時間は血液中からアルコールが抜けない。絶対に酒は飲む機会はあるので、ほろよいにして、その後はハンドルは握らない。みんなで飲酒運転をしないということを守っていかないといけない。」

アルコールを飲んではいけない若い世代に訴え続ける大庭さんには、未来ある若者が加害者にならないように、そして、自分と同じ思いをする被害者を生まないように、という強い思いがあります。

■原付バイクで通学・大渕耀介さん(18)
「飲酒運転をすることで、自分も家族も不幸になるので、一番気をつけたいと思います。」

■今春、自動車学校へ・前田雪月さん(17)
「非のない人の命を奪ってしまう、すごく悲惨だと思った。これから運転免許をとるが、飲酒したときは絶対運転しないようにしたい。」

遺族による根を張る活動が続けられる中で、私たちにできることがあります。飲酒運転を見かけた時の“通報”です。

■小山昭平さん
「3車線目に車が止まっていて、運転手見たら首が落ちた状態で、ちょっとおかしいなと思ってノックをしたけれど反応はなくて。それで110番通報した。」

福岡県筑前町の小山昭平さんは、去年11月、福岡市中央区の交差点で、運転席で酒を飲んで寝込んでいる男を発見し、通報しました。

■小山さん
「すぐ電話したほうが早い。警察の判断に任せるのが一番いいかなと思う。自分じゃなかなか判断できないので。(通報して)よかったなと今は思う。」

運転していた男は酒気帯び運転の疑いで逮捕されました。小山さんは31日、警察から感謝状が贈られました。

福岡県では4年前から、飲酒運転を見かけた時、警察に通報することが義務化されています。

福岡県では去年、2250件の通報のうち265件が検挙につながりました。

■中央警察署・丸橋弘昌 交通管理官
「やはり通報することによって飲酒事故が防げる。事故を発生させないことが一番大切。」

警察は、飲酒運転の撲滅を訴えるとともに、「もし見かけたらすぐに通報してほしい」と呼びかけています。