【ハラスメント撲滅月間】働きやすい職場づくりとは 福岡の運送会社の取り組み
12月は厚生労働省が定めた職場のハラスメント撲滅月間です。ハラスメントをはじめ、賃金未払いなどの労働問題を専門家に相談できるホットラインが7日、全国一斉に開かれています。そうしたなか、職場の風通しを良くし、さまざまな働き方改革を実践する企業があります。
7日、福岡市博多区の福岡県労連は、労働相談ホットラインを開きました。弁護士や労働相談の担当者が、職場の悩みに関する電話相談を受け付けています。
■電話相談
「休憩は与えられた時間を自由に使えます。自由な行動ができる時間帯が休憩の時間です。安全配慮義務違反にもなるし、労基法の34条にも引っかかります。」
福岡県労連には年間、400件から500件ほどの労働相談があります。去年4月に、パワハラ防止法が全面施行されましたが、相談の半数ほどがハラスメントに関する内容です。
最近はパワハラに加え、雇い止めや賃金未払いなどの労働契約問題に発展するケースも増えているといいます。
■福岡県労連 事務局次長・渡辺宏さん
「ハラスメントが発端になって、そのあと雇い止めに発展したり、もしくは遠隔地配転をさせられたりという非常に複合的な相談が増えていると感じています。」
こうしたなか、働きやすい職場環境作りに力を入れ、2年前からさまざまなことに取り組んでいる企業があります。福岡県宇美町の運送会社です。
およそ90人のドライバーが働くこの会社では過重労働防止のため、すべてのトラックに計測機器を取り付け、労働時間や休憩時間などを把握できるようにしました。
また月に2回、上司と話をする機会を設け、日常会話の中から悩みごとなどを聞き出しています。
このほか人間関係を円滑にするため、上司と部下が互いによいところを書き出すヒアリングシートも作っています。
■Miyamaコーポレーション・降籏美香社長
「相談できる雰囲気を作ること。困ったと思ったことをすぐに会社に相談できるようような雰囲気を作ることが一番。」
所属するドライバーのうち、女性が22人と多いのも特徴です。業界の女性の比率は2%ほどと言われていますが、ここでは25%近くを占めています。
■女性ドライバー
「働きやすいです。何かあれば上司にみんな言って相談しています。」
働く意欲につながるこんな工夫もあります。制服は女性ドライバーの声を受けて、色や種類のバリエーションを定期的に増やしました。
■吉村史織アナウンサー
「色がたくさんあってかわいい、選ぶのが楽しくなりそうです。」
相談しやすい環境をつくることで、ハラスメントを防げたこともありました。
■降籏社長
「こういうことがあって困っていますとすぐ伝えてくれたことによって、会社として迅速な対応ができたということがあって、それが大ごとにつながらなかったことはあります。」
風通しをよくすることで信頼関係を築き、ハラスメントのない職場をつくるために、日々のコミュニケーションの積み重ねが安心して働ける場を作ります。
福岡県労連の労働相談センターに寄せられる相談には、ふだんからハラスメント関連が多数を占めているといいます。具体的には以下のようなものがあったということです。
▽夫の勤務先の社長が、休日の夜や終業後の夜中に酒を飲んでラインや携帯に文句を言ったり、仕事を言いつけたりし、長々続く。(当事者の妻からの相談)
▽美容室の事務をしているが、オーナーから襟足をバリカンで刈られたり、たまにスカートをはいていくと「デートなの?」と言われストレスになっている。(襟足を剃るのは本人の了承が無ければ暴行罪に当たる行為)
▽新しくきた上司が「2~3人辞めてもらわないといけない」「辞めてもらっても構わない」などと、事あるごとに言う。