【中学生2人殺傷】数年前から刃物店へ 車と家から数十本を発見 専門家の見方は 地域社会に影響続く 北九州市
北九州市小倉南区のマクドナルドで中学生2人が殺傷された事件は、28日で発生から2週間です。容疑者が逮捕された後も、地域社会には事件のショックが残る中、子どもたちを守る取り組みが続いています。
■児玉悠一朗記者
「平原容疑者が小倉南警察署から出てきました。」
14日、北九州市小倉南区のマクドナルドで中学生2人が“刃物”で刺され死傷した事件で、近くに住む無職、平原政徳容疑者(43)は男子中学生への殺人未遂の疑いで19日、逮捕されました。
取り調べの中で、平原容疑者は容疑を認めているものの、捜査関係者によりますと、逮捕されて1週間たった今も、動機について明確な説明はしていないということです。
ある捜査関係者は「捜査員が同じ質問を繰り返すと激高し、15分ほどで取り調べを終えることもある」と明かしました。
その平原容疑者の事件前の変化に気づいていたのが、理髪店のオーナーでした。
■理髪店オーナー
「中学高校から(利用していた)。こっちが言ったことに対して、ちゃんと返してくれる感じ。」
しかし去年1月、久しぶりに来店した時印象が一変したと言います。
■理髪店オーナー
「ほとんど会話にならないんよね。目がキョロキョロしているし。全然違うからさ、雰囲気が。おかしいなって思うよね。」
平原容疑者は1年以上前に妻と離婚し、1人暮らしだったといいます。5月と10月には、近所に住む人から警察に騒音をめぐる相談が寄せられていました。
■近くに住む人
「怒ったような感じのおんどりゃーとか、なんとかーとか、そういう声がよく、家の中から。」
逮捕後の家宅捜索で、警察は平原容疑者の自宅や車の中から数十本の刃物を押収しました。アウトドア用や装飾がついたもの、摸造刀など刃渡りや形状はさまざまで、中には男子中学生を襲った際の凶器とみられるものもあったということです。
北九州市内の刃物を扱う店によりますと、数年前から平原容疑者とみられる人物が3か月に1回程度来店していました。その人物は必要以上のことは話さず、ショーケースの前でしばらく商品を見た後、1~3万円程度のナイフやレプリカ銃を購入していたということです。
犯罪心理に詳しい専門家に聞きました。
■福岡大学 人文学部・大上 渉 教授
「過去の無差別殺傷犯や大量殺人犯は、犯行前から事前に過剰とも思えるようなおびただしい凶器を保持している傾向があって、それは殺害を計画的に実行して、確実に自分が思い描いていた計画を遂行するためでもある。日頃の虚しさや満たされなさを埋めるためのよりどころだったのかも。」
この事件を受け、北九州市内では小・中・高校などで延べ1万人以上が登校を控えるなどしました。事件が地域社会に与えた影響は、今も続いています。
■加藤雅大記者
「入り口には、カギがかかっているのでチャイムを鳴らしてくださいと書かれた紙が貼られています。」
現場からおよそ300メートルの学習塾では、事件を受け、授業中は出入り口を施錠し中にいる職員が鍵を開けるようにしました。また、授業の間の食事は自宅に帰るか、塾の中で食べることを徹底し、飲食店に行くことを禁止しました。さらに力を入れているのが、帰宅する生徒たちの見守りです。
■生徒たち
「さようなら。」
これまでは授業後の質問対応を優先していましたが、まず帰宅する生徒たちを見届けてから応じることにしました。
■九大進学ゼミ徳力校・佐多博隆 塾長
「事件後、生徒や保護者から通塾が不安だという声もあがっていたので、被害者の方と同じ世代の子どもを預かっている立場として、自分たちが守れる部分は守らないと。」
地域社会に不安が残る中、子どもたちを守る取り組みが続いています。
平原容疑者は逮捕後、当番弁護士らの弁護を「突っぱねて」きたといいます。24日、県の弁護士会は刑事訴訟法に基づいて、裁判所に職権で弁護士を選任するよう申し入れ、ようやく2人の弁護士が決まりました。
警察は今後、女子中学生に対する殺人容疑でも平原容疑者を調べる方針です。
■加藤記者
「捜査関係者は、平原容疑者と中学生2人は面識はなかったとみています。なぜ平原容疑者が2人を狙ったのか捜査は続いています。」