初代「門司駅」遺構どうなる 市の移築の方針に「待った」をかける修正案を可決 最大会派も賛成 武内市長「摩訶不思議」 北九州市議会
北九州市の公共施設の建設予定地で見つかった初代「門司駅」の遺構をめぐり、市の計画が覆されました。市が提案した一部を移築する予算案に対して、移築費を削除して記録保存を求める修正案が市議会で可決されました。
■ハートフル北九州・森 結実子 市議
「適切な埋蔵文化財調査と厳密な記録保存を行うとともに、 速やかに複合公共施設の計画を進めるべきと考えます。一部移築費用を盛り込まないようにするため、この“修正案”を提出するものです。」
北九州市と一部の市議で意見が割れているのは、門司区の複合公共施設の建設予定地で発掘された遺構の保存方法についてです。
見つかったのは明治時代に開業した初代「門司駅」の遺構で、機関車庫の基礎部分などが出土したとみられています。
■武内市長(ことし1月)
「出土した鉄道遺構のうち、土木の歴史を顕著に表す部分を切り出して移築保存をします。」
北九州市の武内市長は一部を移築して、別の場所で保存するための費用として2000万円を補正予算案に盛り込んでいました。
この北九州市の方針に、ユネスコの諮問機関である日本イコモスなど複数の団体が「発掘された遺構を移築すれば価値が失われる」などとして、現地での保存を求める要望書を提出していました。
そんな中、本会議に52年ぶりとなる修正動議が提出されました。
その内容は、移築費を削除し「適切な調査と厳密な記録」による保存を行い、速やかに公共施設の計画を進めるというものです。
これに対し、市長を支援する会派の市議からは、こんな質問が上がりました。
■自民未来・三原朝利市議
「記録保存だけを行えばよく、現地保存、そして文化財登録は行う必要はないという認識でよろしいでしょうか。」
■森 市議
「本修正議案の趣旨は、移築よりも調査と記録保存でございます。」
現地保存に関する質問に対して、明確に答えることはありませんでした。
■議長
「修正案について採決します。賛成の方の起立を求めます。起立多数で可決されました。」
市議会の主要会派が賛成し、遺構を「記録保存」する修正案が可決されました。修正案に賛成した最大会派、自民党系会派の市議に聞きました。
■自民党・無所属の会 鷹木 研一郎 副団長
「記録はしていただきます。現地に遺構の保存は求めません。早急に現地に建設を求めてまいります。」
移築を行なわず、記録保存する議案が可決されたことについて、市民はどう受けとめているのでしょうか。
■市民
「そのまま残すべきと思う。残して、もっと文化の価値を高めた方がいいと思う。」
「吉野ヶ里みたいに本当に古いわけではないから、あまりピンとこない。やっぱり図書館とか新しく造ってほしいですからね。」
■武内市長
「実に摩訶不思議、摩訶不思議なことだったと思います。移築の保存は必要がないということはよく理解できました。ただ今後、スケジュールそして現地で造っていくのか、保存方法をどうしていくのか、肝になる質問にはご答弁が明瞭になかったので、非常に理解が難しいところがあったなというふうに感じております。」
北九州市による移築計画は、市議会に待ったをかけられた形となりました。武内市長は審議のやり直しを求める「再議」を行なうかどうかを含め、検討するとしています。