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10月から『ふるさと納税』ルール改正で駆け込み需要 値上げや除外で事業者から落胆の声

2023年9月26日 18:00
10月から『ふるさと納税』ルール改正で駆け込み需要 値上げや除外で事業者から落胆の声
ふるさと納税ルール改正で駆け込み需要

応援したい自治体に寄付をすることで返礼品を受け取れる『ふるさと納税』ですが、10月からルールが改正され、一部で値上げや返礼品からの除外が決まっています。駆け込み需要が生まれる一方で、返礼品から除外される事業者はルール改正に肩を落としています。

訪れたのは、福岡県豊前市にある『大分製紙』の工場です。

■奥村三枝 記者
「こちらの工場では、両手を伸ばしても足りないくらい大きなトイレットペーパーが作られています。」

1日に100万ロール生産するこの工場のトイレットペーパーは、5年前から豊前市のふるさと納税の返礼品です。生活必需品の価格高騰で、需要は高まっているといいます。

■大分製紙 生産管理課・時田博昭さん
「以前から比べると10倍くらい伸びています。物価高も、もちろんあります。絶対使うものなので、誰にとっても喜ばれるというので伸びていると思います。」

人気の高まりに応えて、新たな商品も登場しました。9月から生産が始まったのは、包装の袋もなく芯もなく長さ130メートルという長いトイレットペーパーです。

ふるさと納税の返礼品でしか手に入りません。

■時田さん
「我が社は九州は50~60%のシェアを持っているんですが、東京とか北海道とかはまだ(販路が)なかった。それをふるさと納税を通じて、うちの商品を知ってもらったらメリットがあります。」

一方、福岡県福智町の返礼品『ふくち☆リッチジェラート』は、地元のイチジクなどを使い特産品にと、町の職員が中心になってつくった商品で、年間約1万4000個が納入されています。

このジェラートの人気に、“ある変化”がありました。

■福智ブランドファクトリー 広報・柴田淳子さん
「先月分に比べますと、(納入)数が1.5倍ほど増えています。おそらく駆け込み需要も増えているのではないかと考えられます。」

背景にあるのは、10月からのふるさと納税のルール改正です。

ふるさと納税では、返礼品の調達費を含めた経費を寄付額の5割までとするルールがありますが、一部で、経費に含めるか曖昧だった費用もありました。そこで、総務省がことし10月から、経費の基準を厳格化することになったのです。自治体は、これまで経費に含めていなかった仲介サイトへの手数料の一部などを10月以降、経費として計算しなければならなくなります。

福智町のジェラートの場合も、12個セットの寄付額がこれまでは1万3000円でしたが、10月から3000円の値上げを余儀なくされ、駆け込み需要が発生しているのです。町全体では、ルール改正が決まった7月から3か月の寄付額が、去年と比べ、約2.5倍に増えています。

担当者に話を聞きました。

■福智町 まちづくり総合政策課・鷲野 里さん
「(値上げにより)寄付者が選べるもの自体が減ると、いろんな自治体に寄付している人は、どこに寄付をしてどこをやめようかとなる時に、福智町が今後も選ばれるかは分からないので。」

ふるさと納税のルール改正により、返礼品として取り扱えなくなるものもあります。

■久留米市 総務部・関口 元さん
「(Q. 今回のルール変更によってどんな影響ある?)こちらの熟成肉の返礼品は、10月以降取り扱いができなくなるので、昨年度より寄付額が落ちるのかなと。(Q. 市としては大ダメージ?)寄付金額がその分減少してしまうので、影響は大きいと思います。」

福岡県久留米市の返礼品で人気の『熟成肉』は、外国産の肉などを市内で熟成させたものです。10月のルール改正で、他県産の肉を原料とした『熟成肉』は返礼品と認めないとされるため、9月いっぱいで返礼品から除外せざるを得なくなりました。

『熟成肉』の寄付額は前年度約5000万円あり、久留米市は寄付額の減少を危惧しています。

■関口さん
「これまで取り扱えていたものが取り扱えなくなるので、残念な気持ち。ふるさと納税の売り上げが大きい事業者の影響が大きくなるんじゃないかなと考えています。」

福岡市の返礼品として熟成肉を扱う食肉卸会社『アッドバリュー』を訪ねました。

■阿部まみキャスター
「いま何か運ばれてきましたね。大きいですが、これ何ですか?」
■アッドバリュー・福富康馬社長
「これは骨付きロースですね。これを熟成します。」

運ばれてきたのは、宮崎県産の牛の枝肉です。これを温度や湿度を細かく調整できる熟成庫で、1か月から3か月熟成させます。重さ20キロから70キロもある肉を、部位ごとに手間暇かけて熟成させていて、甘さとうま味があるのが特徴です。

去年、返礼品として採用されたばかりでしたが、ルール改正により9月で除外されます。

ふるさと納税を発信のチャンスと捉えていただけに、悔しさがにじみます。

■福富社長
「まぁしょうがないのかなという感じですかね。ようは年を重ねれば、より売れていくのかなという期待はあったので、そういう意味では残念な気持ちはありますね。」

基準の厳格化で、消費者の動向はどう変わるのか、ルールの改正は10月からです。