海上自衛隊の爆破処理に密着 海底調査で発見 関門海峡に残る機雷とは
戦後80年近くたったいまも、その負の遺産は数多く残されています。ことし6月から7月にかけて関門海峡周辺で、14の爆発物らしきものが見つかりました。そのうちの1発が機雷で、9月25日、海上自衛隊により爆破処理が行われました。
海上自衛隊の掃海艇『うくしま』は、水中の機雷を発見・除去する任務にあたる船です。
25日に行われた機雷の爆破処理作業を、元木キャスターが『うくしま』に乗船し取材しました。
■元木寛人キャスター
「午前7時17分です。海上自衛隊下関基地から、この掃海艇がいま出航しました。」
今回爆破処理する機雷は、海中22メートルの地点に沈んでいます。
発見されたのは、ことし7月3日のことです。北九州市若松区から約3.5キロ沖合で、洋上風力発電所の建設に海底調査が行われた際に発見されました。この海底調査で、6月2日から7月21日までに、14発もの爆発物らしきものが見つかっています。
今回爆破される機雷とはどのようなものなのか、下関基地隊の史料室を見せてもらいました。
■海上自衛隊 下関基地隊・藤井隆行 広報掛長
「こちらが、今回爆破する機雷と同等の機雷になります。」
全長2メートル、直径60センチの『沈底機雷』というものです。
■藤井 広報掛長
「いまも沈んでいるのは火薬が残ったままですので、爆破することによって中身の火薬も爆発するので、水柱はそれなりに上がります。」
海底で発見された機雷は、いまから78年前の1945年、アメリカ軍が太平洋戦争中に投下したものとみられています。その年の3月から8月までに、アメリカ軍はB-29爆撃機から全国の主要港湾や海峡に約1万2000発投下しました。そのうち、関門海峡周辺には約5000発の機雷が投下されたといわれています。
■藤井 広報掛長
「ここ(関門海峡)が航路の物流の拠点と言ってもいいくらいですので、物流を断つ。ここの通りをなくし、日本の戦闘能力を減らすというのが目的ですね。」
海上自衛隊の機雷処理の訓練の様子を映した映像です。爆発物を安全に処理するため、専門的な技術を身につけた水中処分員が、海に潜って爆弾をしかけています。そして、遠隔作業で爆破処理を行っていきます。
これまで関門海峡周辺に投下された約5000発のうち、3500発の機雷が処理されたといいます。
そして9月25日、78年前に投下された1発の機雷が水中爆破されます。下関基地隊としては9年ぶりの作業です。
■元木キャスター
「いま、黒いウェットスーツを着た海上自衛隊の爆発物処理班の水中処分員たちが準備を進めています。」
3そうのボートが、機雷が沈む場所へと向かいます。
■元木キャスター
「午前9時すぎです。ゴムボートの下で機雷に爆薬を装着する作業が行われています。」
そして午前11時すぎ、作業をしていた水中処分員たちが、機雷が沈む場所から距離を取ります。
■アナウンス
「爆破3分前。5、4、3、2、1、爆破。」
22メートルの海中に沈む機雷が爆破されました。
海面が白く染まり、海底の砂を含んだ灰色の大きな水柱があがります。
その高さは約100メートル、機雷の威力を物語っています。
■海上自衛隊 下関基地隊 第43掃海隊・伊藤晃 司令
「確認のための潜水作業によって、目標処理したことを確認しまし た。それが11時58分。13発残っているものにつきましても、安全に、そして確実に、何回同じことがあっても同じようにやることに努めます。」
残る13発の爆発物らしきものの処理については、ことし中の処理を目指すということです。