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工藤会『襲撃事件』控訴審結審 トップは一貫して無罪主張 ナンバー2は一部認める

2023年11月29日 18:12
工藤会『襲撃事件』控訴審結審 トップは一貫して無罪主張 ナンバー2は一部認める
工藤会『襲撃事件』控訴審結審

4つの市民襲撃事件をめぐり、1審で死刑判決を受けた工藤会トップと、ナンバー2の控訴審が111月29日、結審しました。判決は来年3月12日に言い渡されます。

特定危険指定暴力団・工藤会のトップで総裁の野村悟被告(77)と、ナンバー2の田上不美夫被告(67)です。

1審の福岡地裁で野村被告に『死刑』、田上被告に『無期懲役』の判決が言い渡されてから2年3か月が経ちました。

11月29日、判決を不服とした2人の控訴審で、検察側と弁護側が最後の主張を終えました。

野村被告と田上被告は、漁協の元組合長射殺事件や福岡県警の警察官銃撃事件など、4つの事件で殺人や組織犯罪処罰法違反などの罪に問われています。

1審で2人は、すべての事件について関与を否定し、一貫して『無罪』を主張していました。

ところが、ことし9月に始まった控訴審で田上被告の主張が一転します。

看護師切りつけ事件と歯科医師刺傷事件の2件について「自らが指示した」ことを認めたのです。

田上被告は、「総裁は父親のような存在で徳で人を引っ張っていくタイプの方です。自分の判断で巻き込んで申し訳ないという気持ちです」と述べ、「独断で」事件を指示したことを強調し、野村被告の関わりを否定する主張を続けました。

その理由について福岡県警の捜査幹部は、「ナンバー2の田上被告の指示を認めることで野村被告の死刑回避を狙っているのでは」と話します。

そして11月29日、福岡高裁で行われた控訴審では、弁護側が新たな証拠として請求していた証人尋問は認められず、弁護側・検察側の最後の弁論が始まりました。

弁護側は「野村さんはいずれの事件も共謀した事実はなく、いずれも無罪にして無実」と、野村被告については改めて無罪を主張しました。

田上被告については、指示したという2つの事件で「殺意は認められない」などとして、1審判決には重大な事実誤認があり、破棄されるべきと主張しました。

一方、検察側は、野村被告の関与を否定し、独断での指示だったとする田上被告の供述について、検察官は「野村被告に多大な迷惑が生じるのを全く意識せずに、独断で襲撃を指示したという供述は不自然かつ不合理である」と述べました。

2人の供述には信用性がなく「1審判決に全くの揺るぎはない」として控訴の棄却を求め、結審しました。

今回の裁判で、野村被告は「総裁を辞めて工藤会との関係を断ち切る」と話し、田上被告はこれまでの主張を一転させ「独断による指示」を認めました。

野村被告の死刑を回避しようという目論見が見え隠れする中、判決は来年3月12日午前10時から言い渡されます。