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【特集】チーム大将は新人巡査 福岡県警 悲願の初優勝への挑戦 全国警察剣道大会

2023年11月18日 7:25
【特集】チーム大将は新人巡査 福岡県警 悲願の初優勝への挑戦 全国警察剣道大会

10月に日本武道館で開かれた『全国警察剣道大会』に福岡県警女性チームの大将として出場したのは、23歳の新人警察官でした。福岡県警初の優勝へ、悲願を託された“女性剣士”に密着しました。

0コンマ1秒の差で勝負が決まるとされる、日本の伝統武道『剣道』。

ことし、福岡県警に“スーパールーキー”がやってきました。剣道四段の妹尾舞香巡査(23)です。大きな期待を背負った若き女性警察官の挑戦を追いました。

ことし9月、福岡市中央区で行われた警察学校の卒業式に妹尾巡査の姿がありました。

福岡市西区の出身で、父の勧めで5歳のとき剣道を始めた妹尾巡査は、名門・中村学園女子高校剣道部でキャプテンとしてチームを引っ張り、3年生のとき団体・個人ともにインターハイで優勝しました。さらに大学進学後、おととし行われた全日本女子選手権では日本一に輝きました。

そんな彼女が、なぜ警察官になったのか尋ねました。

■福岡県警・妹尾舞香 巡査(23)
「剣道を始めてから多くの警察官の方々と接する機会があって、私も剣道も強くて仕事もしっかりできるかっこいい警察官になりたいと思って。困っている人を助けたり、悪は許さないという一流の警察官になりたいと思います。」

学校を卒業し、妹尾巡査が指定されたのは福岡県警の『剣道特別訓練員(剣道特練員)』です。『特練員』は、県警を代表して試合に出る、いわば強化選手です。

福岡県警の『剣道特練員』には4人の女性が所属していて、それぞれが全国トップレベルの実力者です。その4人には目標があります。

■妹尾 巡査
「警察の全国大会があるので、そこで先輩方と一緒に日本一になるのが目標です。」

『全国警察剣道大会』とは、各都道府県の警察がプライドをかけしのぎを削る大会で、福岡県警の女性チームは、まだ一度も優勝を勝ち取ったことがありません。

大会を控え、4人は警察業務を離れて剣道の稽古に専念していました。チームで行動しながら結束を強めます。

【全国の警察チームの頂点目指し】

■妹尾 巡査
「(Q. お弁当は自分で作ってきたんですか?)一応。野菜が嫌いなので、レタスとかちょっと入れてみました。」

■先輩
「(Q. 妹尾さんってどんな後輩?)甘えん坊。面を着けている時と、着けていない時のギャップがかわいいよね。」

そんな妹尾巡査ですが、ひとたび防具を身に着けると、雰囲気は一変します。新人ながら大将に抜擢されました。相手の攻撃にも動じず、勝負どころを逃さない妹尾巡査の実力は、指導陣からも折り紙付きです。

■福岡県警 術科指導室・彌永 政美 首席師範
「強いですね。誰が見ても、そう答えると思います。相手の隙を見つけたときは逃さない。その爆発力はすごいですよね。」

■妹尾 巡査
「一戦一戦、全力でチャレンジャーの気持ちで臨んで、自分の剣道を最後まで貫き通せればと思います。」

迎えた大会当日、東京の日本武道館で開かれた女性の団体戦には、全国から30都道府県の警察が出場しました。先鋒から大将まで3人が対戦し、勝敗を争います。

福岡県警は初戦から鍛え上げてきた剣道で、茨城県警、大分県警、警視庁と強豪相手に勝ちを重ねます。

そして、神奈川県警との準決勝、大会最大の山場を迎えます。1人目、2人目は引き分けとなり、大将の妹尾巡査で勝負が決まる大一番です。相手は、過去に世界選手権で優勝したこともある強敵です。

互いに技を出し合いますが、5分の時間内では勝敗がつかず代表戦となります。

勝負を託されたのは妹尾巡査です。

開始から3分、ついに妹尾巡査の豪快なメンが決まり、見事、福岡県警の勝利となりました。

続く決勝では大阪府警に2勝0敗と完勝し、福岡県警は悲願の初優勝を果たしました。

新人警察官が、いきなりチームにもたらした快挙です。

■妹尾 巡査
「嬉しいという気持ちと、たくさんの方々に支えられて このような結果が残せたので、感謝の気持ちでいっぱいです。私たちの活躍で勇気を与えられるような警察官になれたらいいなと思います。」

13日、福岡県警察本部で岩下剛本部長から表彰を受けた妹尾巡査が次に掲げる目標は、来年イタリアで開かれる世界選手権に出場し優勝することです。若き警察官の挑戦は始まったばかりです。