「約束」の期限まであと20年…中間貯蔵施設の除染土を福島県外で最終処分するには
中間貯蔵施設に保管され、2045年までに福島県外で最終処分するとされている除染土。しかし、どこでどのように処分するか、具体的な方向性は決まっていません。約束の期限まであと20年と迫る中、全国で理解が進まない現状に地元自治体も危機感を抱いています。
■浅尾環境大臣
「県外最終処分というのは国の約束であります」
中間貯蔵施設が立地する双葉町、大熊町と国が交わした「約束」。法律にもこう定められています。「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」
双葉町と大熊町にまたがる中間貯蔵施設には福島県内の除染で出た土の除染土が保管されています。その量は東京ドームおよそ11杯分…
ここはあくまで「中間」の保管施設で、除染土は20年後の2045年3月までに福島県外で最終処分することが決まっています。
2024年12月の第1回福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議では…
■林官房長官
「福島の復興に向けた重要課題の一つである福島県内除去土壌の県外最終処分の実現のため政府を挙げて全力で取り組んでまいります」
約束の期限が迫る中、政府は取り組みを加速させるための関係閣僚会議を開催。
2月には除染土の最終処分に関する「4つのシナリオ」を初めて提示しました。それによりますと最終処分場に必要な面積は最大で50ヘクタールと東京ディズニーランドとほぼ同じ大きさで。容量を減らす処理をした場合、その5パーセントほどの2ヘクタールまで縮小できるとしています。
一方でいずれのシナリオでもカギとなるが…
■浅尾環境大臣
「最終処分の構造、容積を決めていくに当たっても再生利用ができるものについて、それを進めていくことも大変重要なことでありまして…」
除染土のうち、放射性物質の濃度が低い土について国は最終処分とは別に、道路などの公共事業で再利用する考えです。
ただその安全性を確認する実証事業を巡っては首都圏で住民らの反対もあり、話は進んでおらず除染土に対する全国的な理解が足りていない現状があります。
こうした現状に中間貯蔵施設を苦渋の決断で受け入れた双葉、大熊の町長は…
■双葉町 伊澤史朗 町長
「現状では十分に理解が広まっていないことに危機感を抱いております」
■大熊町 吉田淳 町長
「(最終処分まで)あと20年っていう残された時間になりますので、ギリギリの残された時間になってるんじゃないかなっていうふうに思いますので」
約束の期限まであと20年。最終処分場の整備や除染土の運搬を考えると、残された時間はそう多くはありません。
ここからは取材を担当した大熊町出身の渡邉記者とお伝えします。私の大熊町の実家も中間貯蔵施設のエリアとなっていて、中間貯蔵施設にはいま、東京ドーム11杯分の除染土が保管されています。このうち、4分の3が科学的に安全とされる1キロ当たり8000ベクレル以下の再利用できる除染土です。これだけ再利用できると最終処分の量も減るということになりますが、それには福島県内外を含めた理解が課題となっています。
そうした中、3月にある取り組みが行われました。
3月9日、Jヴィレッジで開かれた除染土に関するシンポジウムに、参加するのは福島県内外の高校生や大学生です。
参加者の一人、千葉県の高校2年生、小松崎瑛太さんは中間貯蔵施設を初めて見学しました。
■小松崎瑛太さん
「中間貯蔵施設の処理技術の高さから見て安全性は間違いないなとこの目で実感しました。一人一人の安心を確保できる取り組みが大切だと思っています。」
どうすれば除染土について理解を広げることができるか、それぞれの視点でアイデアを出し合います。
■東京からのオンライン参加者
「いわゆるZ世代には1分以内の短い動画がインパクトに残りやすい傾向にあります」
■福島大学 天野俊さん
「絶やさずいっぱい情報発信することが大事だと思います」
国はこの先を担う若い世代に除染土への関心を持ってもらう取り組みを今後も続けていく考えです。
■環境省 勝目 康 環境大臣政務官
「若い人たちにわかってもらわないといけないし、若い人たち自身が自分事として考えて発信してもらう、そのことがとても大事だと思っています」
除染土を知ろうとしている姿は再利用に向けた希望にもなりますし、こうした繋がりが広がれば最終処分への道筋が見えてくるのではないかと感じます。私の実家も含めて多くの人が故郷を手放すと苦渋の決断をしたのは、この場所に再び人が帰ってくると信じたからです。この間、地権者の中には亡くなった人も少なくありません。大切な故郷を預けたからには国にはもちろん2045年の福島県外最終処分という約束を守ってほしいですし、多くの人が自分事と考えてもる取り組みがさらに必要だと感じています。
■浅尾環境大臣
「県外最終処分というのは国の約束であります」
中間貯蔵施設が立地する双葉町、大熊町と国が交わした「約束」。法律にもこう定められています。「中間貯蔵開始後三十年以内に、福島県外で最終処分を完了するために必要な措置を講ずる」
双葉町と大熊町にまたがる中間貯蔵施設には福島県内の除染で出た土の除染土が保管されています。その量は東京ドームおよそ11杯分…
ここはあくまで「中間」の保管施設で、除染土は20年後の2045年3月までに福島県外で最終処分することが決まっています。
2024年12月の第1回福島県内除去土壌等の県外最終処分の実現に向けた再生利用等推進会議では…
■林官房長官
「福島の復興に向けた重要課題の一つである福島県内除去土壌の県外最終処分の実現のため政府を挙げて全力で取り組んでまいります」
約束の期限が迫る中、政府は取り組みを加速させるための関係閣僚会議を開催。
2月には除染土の最終処分に関する「4つのシナリオ」を初めて提示しました。それによりますと最終処分場に必要な面積は最大で50ヘクタールと東京ディズニーランドとほぼ同じ大きさで。容量を減らす処理をした場合、その5パーセントほどの2ヘクタールまで縮小できるとしています。
一方でいずれのシナリオでもカギとなるが…
■浅尾環境大臣
「最終処分の構造、容積を決めていくに当たっても再生利用ができるものについて、それを進めていくことも大変重要なことでありまして…」
除染土のうち、放射性物質の濃度が低い土について国は最終処分とは別に、道路などの公共事業で再利用する考えです。
ただその安全性を確認する実証事業を巡っては首都圏で住民らの反対もあり、話は進んでおらず除染土に対する全国的な理解が足りていない現状があります。
こうした現状に中間貯蔵施設を苦渋の決断で受け入れた双葉、大熊の町長は…
■双葉町 伊澤史朗 町長
「現状では十分に理解が広まっていないことに危機感を抱いております」
■大熊町 吉田淳 町長
「(最終処分まで)あと20年っていう残された時間になりますので、ギリギリの残された時間になってるんじゃないかなっていうふうに思いますので」
約束の期限まであと20年。最終処分場の整備や除染土の運搬を考えると、残された時間はそう多くはありません。
ここからは取材を担当した大熊町出身の渡邉記者とお伝えします。私の大熊町の実家も中間貯蔵施設のエリアとなっていて、中間貯蔵施設にはいま、東京ドーム11杯分の除染土が保管されています。このうち、4分の3が科学的に安全とされる1キロ当たり8000ベクレル以下の再利用できる除染土です。これだけ再利用できると最終処分の量も減るということになりますが、それには福島県内外を含めた理解が課題となっています。
そうした中、3月にある取り組みが行われました。
3月9日、Jヴィレッジで開かれた除染土に関するシンポジウムに、参加するのは福島県内外の高校生や大学生です。
参加者の一人、千葉県の高校2年生、小松崎瑛太さんは中間貯蔵施設を初めて見学しました。
■小松崎瑛太さん
「中間貯蔵施設の処理技術の高さから見て安全性は間違いないなとこの目で実感しました。一人一人の安心を確保できる取り組みが大切だと思っています。」
どうすれば除染土について理解を広げることができるか、それぞれの視点でアイデアを出し合います。
■東京からのオンライン参加者
「いわゆるZ世代には1分以内の短い動画がインパクトに残りやすい傾向にあります」
■福島大学 天野俊さん
「絶やさずいっぱい情報発信することが大事だと思います」
国はこの先を担う若い世代に除染土への関心を持ってもらう取り組みを今後も続けていく考えです。
■環境省 勝目 康 環境大臣政務官
「若い人たちにわかってもらわないといけないし、若い人たち自身が自分事として考えて発信してもらう、そのことがとても大事だと思っています」
除染土を知ろうとしている姿は再利用に向けた希望にもなりますし、こうした繋がりが広がれば最終処分への道筋が見えてくるのではないかと感じます。私の実家も含めて多くの人が故郷を手放すと苦渋の決断をしたのは、この場所に再び人が帰ってくると信じたからです。この間、地権者の中には亡くなった人も少なくありません。大切な故郷を預けたからには国にはもちろん2045年の福島県外最終処分という約束を守ってほしいですし、多くの人が自分事と考えてもる取り組みがさらに必要だと感じています。
最終更新日:2025年3月14日 18:50