被爆者・森重昭さん「本気で平和を」 NPT再検討会議準備委に寄せたメッセージ
世界の核軍縮について話し合う会議が現在、スイスで開かれています。ロシアが核の威嚇を繰り返すなど、不安定な国際情勢のなか、世界に向けて反戦のメッセージを発信した被爆者の思いを取材しました。
■被爆者 森重昭さん
「まもなく、運命の日8月6日がやってきます。あの日、私は…」
カメラに向かって話す被爆者の森重昭さん。この日、世界に向けてビデオメッセージを撮影していました。
■被爆者 森重昭さん
「やっぱり平和が一番だよということを気がついてほしいなと思います」
森さんは8歳の時、爆心地から2.5キロの自宅近くで被爆。通っていた国民学校の校庭で、多くの遺体が焼かれるのを目の当たりにしました。
その後、広島で被爆死したアメリカ兵捕虜について40年以上調査を続け、12人の身元を特定しました。その功績が認められ、2016年にはアメリカのオバマ元大統領とも対面しました。
7月22日、スイス・ジュネーブで開幕した国際会議。ロシアなどによる核の威嚇が繰り返されるなか、NPT=核拡散防止条約について各国の代表が議論します。
そのサイドイベントで、ある映画が上映されました。
森さんの半生を描いたドキュメンタリー映画「ペーパーランタン」です。アメリカ人の監督が制作しました。
映画に続き、上映されたのは、森さんのビデオメッセージです。
■被爆者 森重昭さん
「まもなく、運命の日8月6日がやってきます。戦争反対!かけ声だけではだめです。本気で平和運動をしてください」
広島から訪れた高校生や各国の参加者が耳を傾けました。
森さんは、映画の上映会が開かれるという知らせを受けたことしの春ごろから、メッセージの内容を考え続けていたといいます。
■被爆者 森重昭さん
「僕は何の力もないけど、一市民に過ぎないけども、実際に原爆を受けた人間がどういう気持ちで原爆を体験したか、知ってもらいたいと思って、そういうことをして、この8月6日を迎えたいなと思います」
ジュネーブの会議には、広島の代表も出席しました。
■広島市 松井一実 市長
「Can we truly say thatdistrusting other countriesand continuing to have theupper hand over othercountries will keep our owncountries safe?」
(他国に不信感を抱き、他国に対して優位に立ち続けることが、本当に自国の安全を守ることになると言えるのでしょうか?)
また、湯崎知事は、核兵器に頼らない安全保障の必要性を訴えました。
核軍縮への鍵となる会議は、8月2日まで開かれます。
【2024年7月25日放送】