冬眠しているはずのクマの痕跡が至る所に… 広島県内12月の目撃件数は一昨年の4倍に増加
クマは、2023年の秋に多数の被害や目撃証言が報告されています。「冬は冬眠しているから安心」という訳にはいかないのが自然の世界…。その実態を探りました。
■広島湾岸トレイル協議会 田川宏規さん
「これ、爪痕を見てください。適当な間隔で爪痕があいてますよね。こことここという」
民間団体で、広島県内の里山や森林の歩行コースの整備を続けている田川さんです。ここ数年、新しい爪痕や木の実が混ざったフンなど、冬眠しているはずのクマの痕跡を、至る所で見かけるようになったと言います。
■田川さん
「1月13日に歩いている時に5本も6本もの木に爪痕があった。今日見たらまた新しいのがありこの前の倍くらいの数があった」
「こりゃ大変だぞと」
クマは中国地方だけでも、約760頭から2000頭生息しているとされます。県内では、2023年の秋、400件近く目撃されましたが、増えているのが「冬のクマ」です。特に12月の目撃件数は、おととしの4倍に達しています。クマが冬眠しないのは、「気温」ではなく、「食べ物」が原因ではないか…。そう指摘するのは、安佐動物公園でクマを飼育している谷口さんです。
■安佐動物公園 飼育技師 谷口伸広さん
「餌となるドングリがたくさん実らなかったと言われている。その時にエネルギーを蓄えられなかったクマが、なけなしの餌を探しているんだと思う」
更に冬眠といえば、「温かくなるまでじっとしている」と考えがちですが、クマは事情が違っていました。
■谷口さん
「クマは半分起きているんじゃないかなというぐらいの冬眠」
「穴倉の中でじっとしているというイメージの方が正しいのかもしれないですね」
暖冬傾向とされる今シーズン。その暖かさ故の新たな動きもあると言います。
■谷口さん
「特に今年暖かいので、ものすごく早く(山菜の)新芽が出てくるかもしれない。そうなると、クマも動き始めるのが早くなるのではないかと思う」
環境省によると、今年度全国での人的被害は過去最多になっています。立春も過ぎた今、冬眠から目覚めるクマだけでなく、「冬眠しなくなったクマ」にも注意が必要です。
《2024年2月7日放送》