広島テレビのアナウンサーが気になるテーマを自ら取材してお伝えする『アナたにプレゼン』。宮脇靖知アナウンサーが、広島県内の自治体でも珍しく人口が増えている東広島市についてプレゼンします。

東広島市は、現在は９つの町で構成されています。国勢調査による合計の人口数を見ると、１９７５年の約１０万８０００人から、２０２０年の約１９万６０００人と、およそ８０％以上人口が増えているということです。

東広島市産業振興課の手島一晃次長の話によると、人口が増加した主な理由として、広島大学の移転、駅の開業、アメリカ半導体大手マイクロンメモリジャパンの東広島への移転があげられるということです。ただ手放しに喜ぶことはできません。同じ東広島市の中でも、西条町は倍以上増えているのに対し、安芸津町など減っている自治体も多数あります。

都市部と中山間地域での課題が異なるため、これまでのように東広島市全体的に一律の施策ではなかなか対応できない部分もあります。２０２３年度から東広島市が取り組んでいるのが、「共創型起業プログラム」という事業です。これまでは、地域社会の課題を解決するために頑張る起業家が１人で取り組むという形でしたが、行政もサポートし、地域の人にもボランティアとして参加してもらう事で、社会課題の解決をみんなでしていくというプログラムです。

ゲームのようにミッションをクリアしていくプログラム！

大学生は、在学中から東広島市について興味を持ってもらう狙いがある

現在、９つのプログラムが動いています。今回はその中の２つを紹介します。まずは、「東広島ソロトリクエスト」です。取り組むのは、広島出身の松本直樹さんで、一人旅の魅力を発信する専門メディア「ソロトリ」を運営しています。「ソロトリ」とは１人旅で、クエストとは「ミッションクリア型企画」で、設定された目的を１人旅で楽しんでもらう企画です。具体的には、東広島市の観光資源を活用した誘客に、大学生が内容を企画するのがポイントです。課題の解決としては、地域の魅力発信や、様々な場所に行ったり、様々な事業とＰＲ関係を組んでいく、農業産地への行き来や、卒業後の地元定着率の向上を促します。松本さんは「１人旅の良さは、団体旅行などとは違い、その地元や地域や人に触れ合う機会が多いこと」と、話します。人数ではなく、その土地の長期的にその人のファンになってもらうという効果があるということです。

３月２日に安芸津町で、名産のじゃがいもを収穫して、青空の下で揚げて食べる「青空ぽてち」というイベントが開催されました。このイベントを目的に来てもらう実証実験では、広島市内や東広島市内以外から３０人が訪れたということです。提案した安芸津町出身の学生は「自分の故郷がもっともっと賑やかになってほしいという思いがある」ということでした。家族で参加する場合は、６月に収穫したものを青空の下で揚げる企画があるそうですが、これは、ボランティアではなく、大人２５００円、学生２０００円と料金がかかり、ビジネスとして成り立つ仕組みにしているということです。

「シニアのやりたい！」を実現するプロジェクト

シニア世代の困りごとをみんなで解決！

続いて紹介するのは、作業療法士として３０年、地域で高齢者や認知症のリハビリに従事している三宅神奈さんの取り組みです。シニア世代の困り事を解決したいという思いがあり、作業療法士として認知機能の低下予防や、運動機能の向上になどに現場で取り組んでいます。しかし、これらが向上しても、高齢者が普段の生活で解決していかないといけない問題が多くあります。重い荷物が持てない・運べないなど、自分だけではどうしても解決できないなど何か困ったことが生じたときに、しっかりと地域でサポートできるコミュニティを作ろうというものです。

また、問題の解決だけではなく、シニア世代が自分でやりたいことを実現させることによって、地域の自信にもなります。シニア世代のやりたいことを募集すると「みんなでご飯を食べたい」「手話を習いたい」「近くにある花壇を整備したい」といった声が上がったそうです。実際に、コミュニティに関わる人たちの中で解決方法を見つけ、３月１２日に「オタフクソース」の協力で、お好み焼き会を開催します。また、手話サークルの人が指導に来たり、 地元の大学生が重い荷物を運んだり、花壇の手伝いをするということです。このように様々な課題が出てきた時に、コミュニティで助けたいと思う人たちが集まっていけるようにしていきたいということです。

この「円陣」というプログラムは、２０２４年度も実施されるそうです。企画提案者やボランティアとして、東広島市外からも関わることができますので、チェックしてみてください。

【テレビ派　２０２４年３月４日放送】