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地域に親しまれた「ご神木」に別れ 樹齢800年の巨大な杉の木を伐採 広島・熊野町

2024年5月31日 20:02
地域に親しまれた「ご神木」に別れ 樹齢800年の巨大な杉の木を伐採 広島・熊野町

地域に親しまれた”ご神木”に別れです。安芸郡熊野町の神社のシンボルで樹齢800年とされる巨大な杉の木が伐採されました。

安芸郡熊野町が誕生したのは1918年。そのはるか昔の平安時代から、この地を守る榊山神社。熊野町の秋の一大イベント「筆まつり」で流れる歌にも登場します。歌詞にも使われた樹齢約800年とされる杉の木が神社のシンボルです。

57代目の宮司・梶山望さんは「中のスカスカ具合がここ数年かなり目立ってきたので専門業者にも見てもらったら危ないから切ってしまった方がいいという判断をいただいた」と話し、ご神木の伐採という大きな決断をしました。

伐採の前日に、神社を守る奉賛会のメンバーと熊野町の歴史に詳しい人たちが梶山さんを訪ねました。熊野町郷土史研究会の梶矢祥弘さんは「昭和2~30年頃はすごく雷が鳴っていた」と当時を振り返ります。

榊山神社奉賛会の久保田哲暁会長代理は「昭和30年代、神社に落雷があり神木のおかげで本殿助かった」と話します。

避雷針となり神社を火災から守ったとされるご神木は、落雷の衝撃で上部は焼失。その後、全体が傾き始め、ワイヤーでなんとか支えてきました。宮司の梶山さんにとってご神木の伐採は苦渋の決断でした。

伐採当日の5月29日、慣れ親しんだご神木の最期を一目見ようと地域住民も神社を訪れました。幹は小さく切ったあと祭りで使うお面に生まれ変わるほか、お守りにもする予定です。作業が始まっておよそ7時間。あらわになった樹齢800年とされる幹は中心が腐り、空洞化していました。

■榊山神社宮司・梶山望さん
「白い所だけが生きていて、ほとんどの部分が死んでいた。神社にとっては大切なご神木。ありがたい木だった」

残された高さ1メートルの切り株が、熊野のまちを見守り続けた歴史の証しです。

(2024年5月31日放送)