男性にも知ってもらいたい! 多くの女性が抱える悩み『月経困難症』 女性に毎月起こるあらゆる症状について解説
今回のテーマは「月経困難症」です。月経、いわゆる生理について、特に男性はなぜ月経が起こるのか、よく知らない、わからないという人も多いと思います。男性にも知ってほしい「月経困難症」。教えて下さるのは、心療内科医の長井敏弘先生です。
大体、1か月に1回くらい、卵巣から卵子を排出して着床します。その時に少し腹部に違和感があります。
次に、この内膜のところに、ちょっとフワフワのベッドの準備をするイメージで、着床しやすいようにします。この力が「プロゲステロン」という女性ホルモンです。これは、全身に流れるので、その作用で、頭痛・肩こり・便秘・イライラという症状が出てきます。
着床しなかった、あるいは受精しなかった場合、「あ、来ないな。ベッド壊そう」と、ベッド壊してしまいます。それが、子宮内膜です。これが壊れて、血と一緒に出てしまう、これがいわゆる生理「月経」です。普通、「生理」と言いますが、医学用語では「月経」と言います。吐き気・下腹部痛・頭痛・貧血・倦怠感、いわゆる「ブルーな気持ち」になります。
子宮内膜が剥がれ落ちると、「エストロゲン」という女性ホルモンの力もあり、心も体もなかなか良い状態になります。全体を見回すと、ここの時だけ、一瞬だけ調子が良く、あとは何らかの症状があるという事です。
生理痛はどんな痛みかと時々質問されますが、色々考えてみると、男性の股間を蹴り続けられているという痛みが続く方もいるそうです。特に痛い方も、そうでない方もいますが、男性には理解しがたく、女性にしかわからないという痛みです。
広島テレビアプリで、生理の悩みや疑問を募集したところ、様々な意見が寄せられました。
「生理が遅い娘『夜遅くまで起きていたから』『甘いものを食べすぎたから』生活習慣を正しても効果なし。普段の生活が生理痛に関係することはないのでしょうか?」
「産後に生理痛がひどくなり、痛みが強く、動けなくなることも」
「ナプキンをつけ始めて、どれくらいで交換した方がいい?汚れていなくても交換した方がいいのかわかりません。」
「月経困難症」とは…
今回、月経困難症について、婦人科の専門医にお聞きしました。広島市中区の広島中央通り香月産婦人科。香月孝史(かつき・たかふみ)理事長は、およそ30年、女性の悩みと向き合ってきました。
Q.月経困難症、どんな病気?
■香月産婦人科 香月孝史理事長
「多いのは下腹部痛、腰痛、頭痛、吐き気、めまい、あるいはイライラ、脱力感、疲労感、精神症状を含め多くの方、ほとんどと言っていいくらい、もたれていると思います。」
Q.「私の症状は病院に行くほどか?」と悩む方も多いと思いますが、受診の目安は?
■香月産婦人科 香月孝史理事長
「やはり耐えられない、立てない、貧血を起こすぐらい出血が多い、そういったときは早めに。それでなくても、何らかの病気が隠されている場合もありますので、痛みとか何もなくても、若いうちに一度産婦人科に行かれることは重要だと思います。(異常がある場合)超音波という機械で、ほぼわかりますので、割と簡単に判明しますので。」
月経困難症の治療には、痛み止めのほか、最近では低用量のピルを処方することが増えているといいます。
■香月産婦人科 香月孝史理事長
「もともと、ピルは避妊薬として出されたものですが、最近は月経困難症に対してピルをのむ、ニキビで服用する方が非常に多いですね。ピルのリスクに血栓があるので、たばこを吸っているか、将来妊娠を希望されているかどうか、年齢的なことで、お勧めするピルの種類を決めます。非常にたくさんあります。」
月経困難症は、うつ症状も出ます。これがあまりにもひどい場合には、産婦人科から、心療内科に紹介という場合もあります。その場合、もちろん抗うつ剤を処方しますが、心療内科医がピルを出す場合もあります。ピルに抵抗がある方もいると思いますが、欧米では、20%から40%くらいの方が使っています。ピルは、女性ホルモン「エストロゲン」「プロゲステロン」を配合したものだと思ってください。それを飲むことによって、脳が子宮に命令を出し、脳に対して「妊娠している」と、嘘の情報を流します。すると、脳が「あ、そうか」と、生理のサイクルをストップしてしまいます。そうすることで、楽になります。実際には、避妊用が半分、月経困難症の治療に半分として使っています。
月経困難症とうつ症状の関連ですが、月経困難症によってホルモンバランスが乱れ、うつ症状を悪化させます。一方、うつ症状で自律神経が乱れ、これも月経困難症を悪化させます。お互いに悪化させる粗悪因子になってしまいます。これを「PMS(生理前症候群)」と言います。
生理の大体10日から3日くらい前に、腹痛・頭痛・イライラ・落ち込みなどがあります。この症状がどんどんひどくなっていくと、「PMDD(月経前不快気分障害)」になります。この症状は、イライラ・落ち込みがさらにひどくなり、情緒不安定になります。物を投げたり、叫び声あげたり、あるいは強い落ち込みで、一番問題となる自殺、死にたいなという気持ちも出てきます。心療内科医としては、ほぼうつ病と考えます。この場合には、しっかりとした治療が必要となります。
「生理」はタブーでも、恥ずかしいことでもない!
広島の高校ではこんな動きもあります。広島市にある進徳女子高等学校の生徒が、男子生徒が多い広島市の崇徳高等学校の生徒に、オンラインで「生理」について話しました。
■進徳女子高等学校の女子生徒
「女子の皆さん、生理のことをクラスで話し合うことはありますか?男子の皆さん、生理期間に起こる女子の変化に気付いたことはありますか?」「今回私たちも初めてクラスで生理の事を話し合ったんです。これまで生理のことをクラスで話し合うことはありませんでした。恥ずかしいとか、触れてはいけないことのように感じていた。」
「あなたにはわからないでしょということで、考えてくれる人の思考を停止させて、思いや理解されるチャンスを逃すんじゃないかと思ったんです。」
「生理をタブー視するのではなく、女性も男性も向き合うべき問題であるという考えが変わることにつながっていく。」
広島テレビでは『わたしらしく生きるプロジェクト』を立ち上げ、広島の女性たちと、これから活躍する子どもたちが、より豊かで快適な人生を送ることができる社会を目指します。11月26日(日)広島テレビ社屋で開催する、美と健康と食のイベント『フェムミナーレ in Hiroshima!』では、婦人科医を交えながら、皆さんが抱える生理に関する悩みや疑問について語り合うトークショーが開かれます。是非お越しください。
【テレビ派 2023年10月4日放送】