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広島から世界の大舞台を目指す! 地道な努力家・三刀流の大学生スプリンターとは!?【アナたにプレゼン・テレビ派】

2024年10月10日 0:07
広島から世界の大舞台を目指す! 地道な努力家・三刀流の大学生スプリンターとは!?【アナたにプレゼン・テレビ派】

広島テレビのアナウンサーが、気になるテーマを自ら取材して、お伝えする『アナたにプレゼン』。有田優理香アナウンサーが、広島大学から世界を目指す男子100mのスプリンターをプレゼンします。

広島大学4年の山本匠真(しょうま)選手は、2024年5月にバハマで行われた世界リレーの、男子4×100mリレーで初の日本代表に選ばれました。決勝で1走を務め、4位入賞に貢献しました。山本選手に、世界リレーでの経験について聞きました。

■広島大学4年 山本匠真選手
「すごく刺激的になりましたし、何より世界の舞台というのを、はっきりと目指すべき目標、ファンタジーの世界という認識から、はっきりと自分が目指すべき目標という認識に変わったのが、すごく大きな衝撃だったなというふうに思っております。」

広島県廿日市市の出身で、県立広島国泰寺高校から広島大学に進学した生粋の広島っ子です。世界リレーでは、予選で1走を務めたサニブラウン選手が足の不調を訴えて、急遽決勝の大舞台で走ることになりました。

山本選手は小学校まではサッカー少年で、その時から足が速く、中学校で陸上部に入部し、短距離走に取り組んでいました。しかし、中学・高校と全国大会への出場経験はなく、高校2年生で出場した県大会は8位でした。加えて高校3年生の時は、コロナ禍で大会が軒並み中止となり、大学では競技に一区切りをつけて「陸上は高校でやめようかな」と思っていたそうです。しかし、大学入学後に先輩に誘われた行った見学で「陸上が好きだ」ということを再認識して、陸上部への入部を決意しました。

そこから驚くほどに飛躍します。大学3年生の時に出場した、全日本インカレ「日本学生対校選手権」の決勝で3位に入賞しました。そして、4年生で出場した2024年4月の出雲陸上で、10秒31を記録して3位に入賞し、5月の世界リレーの日本代表に選ばれました。6月の布勢スプリントでは、予選で10秒16の自己ベストをマークし、決勝で元日本記録保持者の桐生祥秀選手を抑えて2位になりました。パリオリンピックは、男子100mリレーの補欠選手に選ばれました。

「広島で男子100mの選手」と言われて真っ先に思い浮かぶのは、9秒95の日本記録保持者・山縣亮太選手です。山縣選手は5月の会見で、山本選手について「持ち味は、飛び出しの鋭さやスタートの低さ。そして、同じ広島の空気を吸っているアスリートなので、いつも活躍を気にしている。のびのび頑張ってほしい。」とエールを送っています。オリンピックなどで1走を務めた山縣選手が、山本選手の飛び出しを評価していることから、今後に期待が寄せられています。

山本選手の強さのヒミツは、2つあります。1つ目は『本質を考える練習』、2つ目は『文武両道』です。

まずは、1つ目の『本質を考える練習』についてです。広島大学の練習メニューは、個人で考えるのが基本のスタイルとしています。高校までは感覚で伸びてきましたが、大学では「考えないと伸びない」という姿勢で練習している先輩たちを目の当たりにしたことで、「どうしたら自分が速くなるのか」を仲間たちからヒントを得て、自分に合った練習を取り入れつつ進化してきたそうです。体づくりでの筋力アップや栄養管理などを研究し、3年間で体重が5kg増加し、パワーアップしたと言います。

山本選手を手助けをしたのが、広島大学大学院の研究員で陸上部コーチ尾﨑雄祐さんです。パリオリンピックに出場した、女子100mハードルの福部真子さんのコーチも務めています。尾﨑さんは、山本選手を「速くなるために技術や感覚を自分の中でまとめて、コツコツ実行できる能力がある選手で、急成長したように見えますが、コンスタントに記録を伸ばしたため今のレベルになった。」と評価しています。自分のやるべきことを1個ずつやってきたからこそ、今の結果があると言います。山本選手は「高校から世界を目指していたわけではなく、まずは「県大会でどうすれば1番になれるのか」、そのレベルになったら「全国で勝つにはどうしたらいいのか」と、目の前のことを1つずつやってきただけ。決して才能や光るものがあったというわけではない。」と話していました。

2つ目の『文武両道』についてです。山本選手は工学部の4年生で、普段は半導体の研究をしており、今年は卒業論文にも取り組んでいました。実は、ボイスパーカッションが特技で、アカペラサークルにも所属しているそうです。山本選手にとっては、『三刀流』でメリハリがつき、いい方向に進んだと言います。陸上部だけでは陸上のことばかり考えて、一喜一憂してしまいます。しかし、工学部の研究やアカペラで、陸上を考えない時間があるからこそ、気持ちの切り替えをしっかりすることができるそうです。

2025年に世界陸上が東京で開催されます。その代表入りに向けて「ハイレベルなタイムを、コンスタントに出していくことが目標になる。今あるアベレージを、さらに来年も上げたい。」と話していました。広島から世界に羽ばたく山本選手の活躍に注目です。

最終更新日:2024年10月10日 0:07