全国で過去最大の引き上げ額84円　徳島地方最低賃金審議会は最低賃金を980円とするよう答申【徳島】

（小喜多雅明記者）
「徳島県の最低賃金は980円という答申が出されました。正式に決まれば四国では最も高い最低賃金となります。引き上げ額は、これまで愛媛県の59円が最高でしたが、これを大幅に上回る84円の引き上げで引き上げ額となり、全国でトップとなります」

徳島県内の有識者や労使の代表者でつくる徳島地方最低賃金審議会は、8月29日に徳島労働局に最低賃金を980円とするよう答申しました。

引き上げ額84円は、現在の方式になった2002年度以降全国で過去最大の上げ幅です。

また中央審議会が示していた上げ幅の目安である50円も、大幅に上回りました。

（徳島地方最低賃金審議会 段野聡子会長）
「労使双方ともに、みなさん真摯に議論していただいた結果になっています。中小企業が継続的に賃金を支払えるように、経営環境の支援策を引き続き努力を最大限していただきたい」

最低賃金を検討する専門部会はこれまで4回開かれましたが、労使の求める額に開きがありまとまらず、この日まで答申が延期されていました。

この日に開かれた専門部会でも労使間に隔たりがあり、全会一致での結審にはなりませんでした。

（UAゼンセン県支部 辰巳明宏主任）
「まず今年は1000円にする年だ。県も支援して政策も考えるという話だったので、それを（1000円まで引き上げ）まずやってから、来年のことを考えていくべきだ」

（徳島県経営者協会 脇田亮専務理事）
「使用者側にとっては厳しいという風に思っている。かなり大幅な目安（50円引き上げ）と比べても大幅なアップということで、県には中小規模事業者に対する支援というところを、やはり今後ともしっかりお願いしていきたい」

現在の徳島県内の最低賃金は時給896円と全国で2番目に低い水準で、後藤田正純徳島県知事と徳島県議会の10会派などは大幅な賃上げを求めていました。

徳島の最低賃金は引き上げ額に加え、答申額980円も四国で最も高くなりました。

1000円を超える引き上げを求めていた後藤田知事は、「最低賃金は若者をはじめ、障がい者、高齢者、外国人などすべての人に適用される。徳島の人材確保競争力や魅力度の向上、若者の流出を防ぐ観点から評価できる」と、コメントしています。

（竹中郁子徳島労働局長）
「今回は非常に地域の関心も高かったので、それぞれの立場の委員は厳しい面もあったと思うが、その中でも非常に議論を重ねてもらい出した結論ということで、大変重く受け止めている」

答申された最低賃金は、15日間の異議申し立て期間を経て、早ければ11月1日から適用される見込みです。