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「網の撤去を指導」存続の危機を乗り越えた100年以上続く伝統のシロウオ漁

2024年2月8日 18:59
「網の撤去を指導」存続の危機を乗り越えた100年以上続く伝統のシロウオ漁

天草市で100年以上続く伝統のシロウオ漁のシーズンを迎えました。去年、熊本県が漁で設置した網を撤去するよう指導して存続の危機を迎えましたが、今年再開できることになり、川に昔ながらのにぎわいが戻ってきました。

ハゼ科で体長5センチほどの半透明の魚、シロウオ。天草市新和町の大宮地川の河口で100年以上行われてきたのが、2メートル四方の「四つ手網」を仕掛け、産卵のため河口を遡上するシロウオが上を通るときに引き上げるという漁です。大宮地川では、シロウオを四つ手網の上に誘導する「みち網」を川に設置してきました。

しかし去年。
■大宮地シロウオ組合 迫田一義代表
「みち網は全部撤去して獲りなさいという報告が、県から天草漁協の支所に連絡があった」

川をのぼるシロウオを一気に獲ってしまう、みち網を使った方法は、環境保護の観点から認められた四つ手網漁の範疇を超えているとして、去年、熊本県が天草漁協に撤去するよう指導したのです。漁師たちは、みち網なしでは漁はほぼ不可能だと断念し、網を撤去していました。

あれから1年。再び訪れた漁のシーズンを前に、みち網の設置が認められました。県によりますと、漁協や漁師と協議した結果、みち網を設置する範囲を川幅の4割以内に収め、四つ手網の出口を塞がないよう設置するなどの条件で許可したということです。

これを受け漁協は1月、水中の大きな石を掘り起こし、シロウオが産卵しやすい環境を整備。

6人がかりで約4時間かけ、みち網と四つ手網を設置しました。
■シロウオ漁師 本田秀樹さん
「みんな喜んでいると思う。シロウオ漁は大宮地の伝統ですからね」

こうして久しぶりに行われたシロウオ漁。網を上げると、そこにはピチピチと跳ねる数10匹のシロウオが。伝統の漁が帰ってきました。
■シロウオ漁師 本田秀樹さん
「良かったんじゃないですか、今まで町おこしにもなっていたから。伝統漁をなくさないためにはいいんじゃないですかね」

帰ってきたシロウオ漁。2月いっぱい行われる見込みです。