欧州で「ディープシーク」規制広がる…消費者団体「適切な措置なく個人情報が中国に送られる」
中国のAI開発企業「ディープシーク」をめぐり、アメリカのAI企業「オープンAI」からデータを不正入手した疑いで調査が行われていると報じられる中、ヨーロッパでは、「適切な保護措置が取られないまま、個人情報が中国に送られる」などとして、消費者団体から規制を求める声が広がっています。
■「データ不正入手」報道の一方、イタリアでは規制も
アメリカのブルームバーグは先月28日、中国企業「ディープシーク」の関係者が、「オープンAI」の技術を使ってデータを不正入手した疑いがあるとして、「オープンAI」と出資者の「マイクロソフト」が調査を行っていると報じました。
一方、イタリア当局は「ディープシーク」に対し、「情報が中国に保管されているかどうか」などについて情報提供を求めていて、「ディープシーク」の生成AIによる個人情報の入手や管理への懸念を表明していました。
その後、イタリア当局は、「ディープシーク」からの情報提供が「不十分である」として、イタリア国内での「ディープシーク」が開発した生成AIの使用の規制を発表しました。イタリアでは、すでに「ディープシーク」のアプリのダウンロードができなくなっているということです。
■欧州で広がる“規制”求める声…欧州の消費者団体「消費者の個人情報を尊重するAIが必要」
こうした規制の動きをめぐっては、フランスに拠点を置く「ユーロニュース」が、「イタリアだけでなく、他国でも追随する動きが出てくる可能性がある」と報じるなど、今後もEU=ヨーロッパ連合加盟国を中心に、「ディープシーク」規制が広がっていくことが予想されています。
実際にイタリア当局以外にも、フランスとアイルランドの当局が、「ディープシーク」に対して個人情報の処理などに関する回答を求めているほか、オランダの個人情報監視機関が、「ディープシーク」の個人情報収集に関する調査を開始しました。
ヨーロッパの消費者権利保護のために活動している団体「ユーロコンシューマーズ」は、「ディープシーク」が開発した生成AIが発表されて以降、「ディープシーク」の利用規約などを調べた上で、「EUの個人情報保護の規則に違反している」として、各国政府に規制を求めています。
「ユーロコンシューマーズ」は、「ディープシーク」への懸念について、具体的に以下のように指摘しています。
・適切な保護措置が取られないまま、個人情報が中国に送られる。
・個人情報に関するユーザーの権利について、詳細が不十分である。
・個人情報がプロファイリングされるのかなどについて詳細が明らかになっていない。
・年齢確認もなく、未成年者の個人情報の扱いに関する詳細がない。
その上で、「ユーロコンシューマーズ」の政策担当者は声明で、「消費者の個人情報を尊重し、消費者のニーズに応え、成長、革新、信頼を可能にするAIが必要だ」としています。