「出自を知る権利」テーマにしたシンポ ドイツやフランスの取り組みを紹介
赤ちゃんポストや内密出産など予期せぬ妊娠で生まれた子どもが、自分の生みの親や出生の背景を知る権利、いわゆる「出自を知る権利」をテーマにしたシンポジウムが、熊本市で開かれました。
シンポジウムは、熊本市の慈恵病院が6日と7日の2日間開き、慈恵病院が取り組む「こうのとりのゆりかご」、いわゆる赤ちゃんポストなどの先行事例があるヨーロッパなどの研究者が登壇しました。
この中で千葉経済大学短期大学部の柏木恭典教授は、病院にのみ身元を明かし出産する「内密出産」について、「ドイツでは子どもの権利を守りながら赤ちゃんの遺棄を防ぐギリギリの制度として、法のもと運用されている」と説明しました。
また、フランスの社会福祉を研究している安發明子さんは、「フランスでは全ての病院で匿名で出産できる制度がある」とした上で、「子どもが出自を知ろうとする場合、専門の相談員などから積極的な支援を受けることができる」などと話しました。
一方、「出自を知る権利」をめぐり、慈恵病院と熊本市が共同で設けた検討会議が8日、開かれました。会議では、内密出産などで生まれた子どもの生みの親の情報について開示請求できる年齢などが検討され、委員から「アンケートなどを実施して、当事者の声を取り入れたい」という意見が出されました。
検討会では、情報開示の時期や保管方法の指針について年内にとりまとめる考えです。