「一律から個別の学習へ」ICTを活用『子どもの得意な方法で学ぶ』学校現場を取材
天草市の小学校で、子どもの得意・不得意など特性に合わせた学び方ができるアプリが導入されています。「一律から個別の学習へ」、学校現場を取材しました。
天草市立亀川小学校。6年生の教室では、タブレットを使った自主学習が行われていました。よく見ると、イヤホンで音を聞いている人もいれば、文章を選ぶ人、漢字を書く人も…学び方が一人ひとり違います。
子どもたちが使っていたのは、「まるぐランド」という学習アプリです。このアプリは、使う人の特性に合わせた学び方を自動で提案します。子どもたちは始めに物の見え方、聞こえ方など認知の特性を測るテストを受けます。
(アプリの音声)「できるだけ早く負けましょう。ジャンケンポン」
こうしたテストデータを元に、「見ること」が得意な子どもには漢字のイメージをイラストで示します。
一方、「聞くこと」が得意な子どもには…。
(アプリの音声)「たいらは、よこに、てんてん、じゅう」(漢字の「平」の絵描き歌)
タブレットから絵描き歌の音声が。同じ学習内容をそれぞれの得意な方法で学ぶことができます。
■6年生
「テストとかの時に役立って、漢字を一番してると思います」
■6年生
「間違った時に解説があるので、理解できるところがいいと思います」
国の調査によりますと、小学校の通常学級で学習などに著しい困難を示す児童は10.4%います。アプリ開発の背景には、学校教育の現場で行われている個別指導をサポートする目的があります。
■アプリを開発したベネッセコーポレーション 中川雅文九州支社長
「ICTが進む前は黒板を使った一斉授業だったのが、ICTを使うことによって、生徒個々に応じた学びが提案できる。それぞれの児童が伸びていく可能性を大きく秘めた新しい学びに展開できるのではないか」
亀川小学校では、このアプリを今年度から本格導入しました。授業の合間やテストの後など自主学習の時間に活用していて、学習の特性や進捗状況は自動で学校に送られます。
■亀川小学校6年担任 洞口典寛教諭
「一斉に行う授業の中では、なかなか把握できない子どもたちの困り感が見えてくる。それぞれが自分のペースで自分に合った問題にチャレンジできるので、子どもたちが進んで学ぶ姿が多くなっていると感じています」
一斉学習から、一人ひとりに合わせた個別学習へ。教育現場は進化を続けています。
【スタジオ】
国や自治体は今、発達状況の違いや不登校などを考慮し一律の「そろえる」教育から、子どもの特性を重視する「伸ばす」教育へと方針転換しています。今回お伝えしたアプリ「まるぐランド」の学習サービスは今年度から本格導入がはじまり、全国で約7万人の児童が活用しています。熊本県内では天草市の全ての小学校と、球磨村の小中一貫校が導入しました。