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大谷翔平選手の元通訳に「ゆりかご」宮津さんも…小中学校教科書展示会

2024年6月18日 19:47
大谷翔平選手の元通訳に「ゆりかご」宮津さんも…小中学校教科書展示会
小学校の保健の教科書

来年度から小中学校で使われる教科書の展示会を取材しました。
「こうのとりのゆりかご」に関する記述もあったほか、子どもたちに興味を持って貰おうと工夫した結果、大変なことになった教科書もありました。

来年度から小学校と中学校で使われる教科書。毎年、出版社は工夫を加えてわかりやすい教科書を目指しています。

■東島大記者
「たとえば中学3年生向けのある英語の教科書にはことし大きなニュースになったこの人が登場しています」

「成功を支える人々」というテーマで教育出版の英語の教科書が取り上げたのは、大谷翔平選手の元通訳・水原一平被告でした。多額のカネを不正送金した罪に問われるという急激な展開に訂正が間に合わなかったのです。そのため「内容の変更を検討しています」 という紙を挟み込んで対応しています。

一方、開隆堂の家庭科の教科書ではジェンダーの問題やいろいろな家族のあり方を考えようという記述がさらに広がりを見せています。

この教科書は、変化する家族関係の例として宮津航一さんを紹介しています。宮津さんは熊本市の慈恵病院が運営する「こうのとりのゆりかご」に預けられ、その後里親の元で育ったことを公表し「ゆりかご」や里親制度への理解を深める活動を続けています。

また、左利きの子どもへの配慮も進んでいます。光村図書の書写の教科書では、QRコードで動画とリンクし、左利きでも鉛筆や筆の持ち方が動画を見ながら理解できるよう工夫しています。

■熊本市教育センター指導主事・書川欣也さん
「版が大きくなって色がついてQRコードがある。ですから、教科書“で”教えるのか、教科書“を”教えるのかがとても大事なところで、あくまでもひとつの教科書を大事にしながらも先生方が教科書を使いながら社会の様子を反映しながら授業をしていくと深い学びの多い授業になると思います」

他に東島さんが気になった教科書は?

令和書籍の中学校の歴史教科書です。教科書は文部科学省の検定を合格しなければ採用されないのですが、この教科書はこれまで4回検定で不合格となり、今回も一度合格を見送られながら、ことし4月に改めて検定にパスし初めて合格となりました。ほかの歴史書籍とサイズも異なり内容も日本の神話を詳しく記述するなど独自色の強い教科書です。

注目されたといえば、大日本図書の教科書です。教科書の採用をめぐって校長などに賄賂を贈ったとして出版社の役員らの刑が確定し理科などの新しい教科書が発行できなくなりました。

(緒方太郎キャスター)
でも展示されている?

(東島大記者)
新しく作れないので、4年前に検定に合格した以前の教科書を出しているんです。
実は1年生、2年生と同じ出版社の教科書を使っていて急にほかの出版社に乗り換えると、生徒が混乱してしまうんですね。そのためこういう形でフォローせざるを得ない。大人がやった悪いことが子どもたちに迷惑を及ぼす典型です。

(緒方太郎キャスター)
教科書の展示は、6月27日まで熊本市の教育センターをはじめ図書館など県内の54会場で自由に見ることができます。