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熊本市「九品寺」の由来は?隣の地区から出土の奈良・平安期の土器に同じ読みの文字が

2024年9月11日 20:17
熊本市「九品寺」の由来は?隣の地区から出土の奈良・平安期の土器に同じ読みの文字が
県民のギモン

視聴者のみなさんの気になる話題を調べる「県民のギモン」です。これまで、熊本県内の地名のギモンを取材してきました。今回は、ある展示会で見つけた熊本市の「九品寺(くほんじ)」という地名の由来について歴史をひも解きます。

熊本市の蔦屋書店熊本三年坂で11日から始まった展示会。ショーケースの中には、熊本大学の敷地内で発掘された品々が並んでいます。熊本大学のキャンパスの下には縄文時代から近世にかけての遺跡が見つかっていて、今回は、発掘された土器や土で作った印鑑など13点を展示しています。

土器の中には、「佛」などの文字が書かれたものもあります。

こちらは、奈良・平安時代に油を入れて火をともす灯明皿として使われていたとみられています。そこに刻まれていたのは「杦本寺」という文字。何と読むのか、熊大埋蔵文化財調査センターの山野ケン陽次郎助教に聞いてみると。

■熊大埋蔵文化財調査センター 山野ケン陽次郎助教
「『すぎもとでら』、あるいは『くほんじ』という読み方ができるのかなと思います」

熊本市中央区にある「九品寺」(くほんじ)と同じ読み方。しかし、土器が発見されたのは熊大の本荘キャンパス。九品寺の隣に位置しています。

■熊大埋蔵文化財調査センター 山野ケン陽次郎助教
「熊本県内でも九品寺とか、『くほん』と書かれたへら書きの土器というのは、ほとんど他のところで見つかっていません。そのため、ここに集中するということは、近くの寺があった可能性があるのではないかと考えています」

集落の名前とその地域にある寺の名前が、時代とともに結びつく例がみられるというのです。現在、九品寺や本荘地域に「くほんじ」という寺は存在しないのですが…。

■熊大埋蔵文化財調査センター 山野ケン陽次郎助教
「昔の奈良・平安時代から存在したであろう寺の名前がずっと継承されていて、途中で漢字が変わって「九品」に変わって、今現在も使われているとすると、普通にロマンをかきたてられる話だと思うんですけども、実際に寺を示すような痕跡が今後見つかることを我々としても期待しているところです」

【スタジオ】
熊本地名研究会の藤野芳太郎さんによりますと、地名の辞典をひも解くと、九品寺という地名は『九品寺というお寺があったことにちなむ』と書いてあるそうです。