「火事の後、病院や寺を回ったが…」大洋デパート火災 元従業員の男性が語る
104人が犠牲となった熊本市の大洋デパートの火災から29日で50年を迎えました。当時を知る人が少なくなる中、火災について今も語り続けているのは遺族だけではありません。当時、デパートに勤めていた男性も特別な思いで50年を迎えました。
熊本市に住む甲斐晧二さん(79)。火災が起きた当時、大洋デパートに勤めていました。
■甲斐晧二さん
「やっぱり憧れでした。アルバイトをしていたから、大洋デパートで」
大学時代、大洋デパートでアルバイトをしていた甲斐さん。卒業後そのまま就職し、憧れだったデパートの職員として働いていました。
50年前の11月29日は、夜勤明けの休日でした。
■甲斐晧二さん
「寮に帰って一眠りしたら火事だよと連絡を受けた。大洋デパートが火事だよと」
あわてて駆けつけたデパート。避難した人、助け出された人…その中に、どうしても見つけられない人がいました。
■甲斐晧二さん
「私の売り場の女性従業員がいなかったんですよ。火事が消えてから、いろんな病院やお寺を探しましたが、いなかったんです」
その後、甲斐さんは同じ売り場の女性従業員2人が犠牲になったことを知らされました。
■甲斐晧二さん
「びっくりしました。それと同時に私の責任も…。助けてあげられなかったということですね。一番の心残りです。助けてあげられなかった」
この日訪れたのは、デパートがあった場所のそば。50年前のあの日、ここで燃えさかるデパートを見上げることしかできませんでした。
■甲斐晧二さん
「やっぱり一番嫌な思いでの場所ですね。あってはならない場所になりました。」
二度と同じ悲劇を繰り返してはいけない。半世紀を経て、甲斐さんはそうかみしめています。
熊本市消防局は、大洋デパートの火災について写真で振り返るパネル展を29日から開催しています。会場は熊本市消防局2階にある広域防災センターと、熊本市役所1階のロビーで、12月8日まで開催されます。