熊本大学職員が広報誌めぐりパワハラか 広告会社訴えも書面に「パワハラ」記載拒否
■パワハラ被害を訴える女性
「もう書く自信がなくなりました。書くのはやめようと思いました」
こう話すのは熊本大学の広報誌「熊大通信」の制作を担う熊本市の広告会社の女性社員です。
熊本大学は大学の取り組みや研究などを紹介する「熊大通信」を年に4回発行していて、昨年度からこの女性が働く広告会社に制作を委託しています。
女性によりますと、去年10月頃から熊本大学に取材の日程変更を相談した際、担当の男性職員から「そんなの知りませんよ」と電話で怒鳴られたり、取材中に「そんなこと言わなくていいから」と質問を遮られたりするパワハラ行為を繰り返し受けたということです。
会社側は「女性の仕事ぶりに問題はなかった」とした上で、男性職員の行為は「業者への優越的地位に基づく慢性的なパワハラ」であるとして、業務の継続は困難と判断。今年3月、契約解除を申し出たところ、熊本大学は担当職員の配置換えなど改善を行うとして契約を継続する意向を示したということです。しかし、会社側は「改善が行われることはなかった」としています。
また、熊本大学が契約解除の際に交わす書面にパワハラを理由として記載することを拒み、「認識の相違」を理由とした契約期間の変更として手続きを進めようとしているのは不適切だと訴えています。
■パワハラ被害を訴える女性
「そういった契約変更の書面が出てくることが、何か体質を表していたりとか、そこに対応していただくべき課題があるのではないかと私は思いました」
こうした問題を受け、「熊大通信」は今年4月以降、発行が止まっています。
熊本大学は10日の記者会見で、会社から契約解除の申し出があったことは事実とし、9日付で学内に調査委員会を立ち上げたことを明らかにしました。また、小川久雄学長は相手に不快感を与えたことは申し訳ないとした上で、次のように話しました。
■熊本大学 小川久雄学長
「こちらの職員の意見を聞かないといけないので、調査委員会で明らかにしたいと思っています」
熊本大学は、調査委員会での調査の後に男性職員の処分を検討するとしています。