天草のごみ処理施設「虚偽申告と不備」入札の企業と契約解消へ
天草市に新たなごみ処理施設の建設を計画している天草広域連合は、一般競争入札で決まった企業グループとの契約を解消する方針を決めました。異例の判断となった背景には、企業側の「虚偽申告」と連合の「不備」がありました。
天草市と上天草市、苓北町でつくる天草広域連合は、この2市1町に5つあるごみ処理施設が老朽化する中集約して新設しようと、天草市に新たな施設の建設を計画しています。連合は一般競争入札を行い去年、福岡県に本社がある川崎技研を代表とする企業グループと368億5000万円で契約を結びました。ところが…
■天草広域連合・馬場昭治連合長
「新ごみ処理施設整備運営事業の今後の方針で川崎技研グループと締結している契約を全て解消する方針を決定いたしました」
契約から約9か月。企業グループとの契約を解消する方針を示したのです。
この問題をめぐっては地元の住民36人が「契約は違法だ」とする監査請求を行っていました。
これを受けて連合の監査委員は5月23日付けで請求を棄却。一方入札の過程で企業側が虚偽の報告を行ったことや連合が事務処理を怠ったことを理由に「契約をいったん解除すべき」とする意見を出しました。
ごみ処理の過程で出る焼却灰は別の施設で資源化する計画でしたが、企業側は入札前の選考委員会で資源化のための施設としてまだ着工していない広島県福山市の工場を「建設中」と偽り報告していたということです。
一方の連合側は廃棄物処理法に基づき契約を結ぶ前に工場がある福山市に書面で事前通知する義務がありましたが、この通知を行わなかったため福山市に資源化できる工場がないことを事前に把握できなかったとしています。
契約の締結後、福山市の工場は事実上建設が不可能となり、企業グループはことし3月に埼玉県の工場で資源化を行う代替案を提出しました。
連合は25日に正副連合長会議を開き、「事業提案等に虚偽の記載をした者が行った入札」などに該当するとして、企業グループとの契約を解消する方針を決定。
27日、企業側に契約解消の通知を出したということです。
■天草広域連合・馬場昭治連合長
「当然現在の施設のメンテナンスもしっかりやっていきながら速やかに新しい施設をつくるために協議・議論しながらつくっていきたい」
今後、再入札の手続きに入るため2027年を予定していた新しいごみ処理施設の稼働は数年ずれ込む見込みです。