「組織の空気を変える働きかけを」トラブル相次ぐ熊本市電 検証委が初会合
検証委員会の初会合には、鉄道事業者の安全統括管理者の経験者や学識経験者など4人の委員が出席しました。熊本市電をめぐっては、今年1月以降、乗車ドアが開いた状態で走行したり、赤信号にも関わらず出発したりする事故につながるおそれのあるインシデントや、人身事故が相次いで発生しています。
23日の初会合では、熊本市交通局側から、インシデントなどが発生した経緯や再発防止に向けた取り組みなどの説明が行われました。委員からは、インシデントや事故に関わった運転士に直接聞き取りをしたいと要望がありました。
■検証委員会 吉田道雄会長
「長く続けて組織全体や空気を変える働きかけをすることが大事だと思うので、提言を通じてちょっとでも意識が変わることが非常に期待されると思う」
検証委員会は、夏頃にそれぞれの事案に対する再発防止策を中間報告としてまとめ、年内をめどに組織的な対応など長期的な再発防止策を提言する予定です。
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
重大インシデントと認定された事案です。まずは今年1月、乗車ドアが開いた状態で約90メートル走行しました。通常、ドアが開いたまま発車すると安全装置が作動して加速できないようになっています。
(平井友莉キャスター)
この事案では安全装置が正常に作動しなかったんですよね。
(緒方太郎キャスター)
熊本市交通局は23日、ドアの開閉を検知するスイッチの取り付けミスが誤作動につながった可能性が高いと説明しました。
(平井キャスター)
誰がいつ取り付け方を間違えたのでしょうか?
(緒方キャスター)
交通局は「記録がないので不明」としています。
(平井キャスター)
2つ目の重大インシデントは走行中にドアが2回開いた事案で、作業ミスが原因とされていますね。
(緒方キャスター)
交通局は、車両の外側にドリルで穴を開けた際、車両内側のドアの信号に関する配線が損傷したことが原因と考えられるとしていますが、この件でも誰がいつ作業をしたのか記録がなくわかっていません。
(平井キャスター)
作業記録を保存する運用になっていないのでしょうか?
(緒方キャスター)
記録がなく検証できない点について、23日の検証委員会でも質問や意見が相次ぎました。熊本市交通局は、消耗品の取り替え実績や車体外側の作業の記録を徹底するよう対策を行ったということですが、組織全体が安全第一の運行に取り組むための風土や体制づくりが求められます。