【今年4回目のインシデント】熊本市電が赤信号で発車 別車両の10m前で停止
熊本市電でまたトラブルです。5月、熊本市電の電車が赤信号で電停を出発し、九州運輸局が事故が発生するおそれのある事態「インシデント」としたことがわかりました。
■畑中香保里キャスター
「トラブルがあったのは、車庫のすぐ近くの上熊本駅です。電車はバツ印の赤信号が出ていたにもかかわらず出発してしまい、9メートル進んでしまったということです」
熊本市交通局によりますと、5月2日午前6時半頃、上熊本電停で、60代の男性運転士が運転する電車が、出発時刻になったため健軍町に向けて出発したところ、本来進む方向ではなく、隣接する車庫の方に進みました。運転士がブレーキをかけ、約9メートル進んだところで停止しました。停止した地点の約10メートル先には、待機していた別の車両があったということです。乗客4人と乗員2人にけがはありませんでした。電車はそのまま電停に戻り、出発したということです。
当時、信号は赤で、進行方向を切り替える装置が進むべき方向に切り替わっていなかったということです。インシデントとは思わなかった熊本市交通局は、ゴールデンウイークが明けた7日、九州運輸局に報告しました。九州運輸局は、待機していた車両に衝突する可能性もあったことから、事故が発生するおそれがある事態、インシデントと指摘した。
赤信号で発車したことについて運転士は、「青信号になったと思い込んでいた」と話しているということです。
信号は本来、出発前に運転士から無線で連絡を受けた営業所の担当者が切り替えますが、今回は、連絡があったものの、担当者が切り替えていなかったということです。
■熊本市交通局の担当者
「乗務員教育を徹底するとともに、再発防止に向けた検証を行ってまいります。申し訳ございませんでした」
今年、熊本市交通局で発生したインシデントは、走行中にドアが開く「重大インシデント」が2回、車両の連結部分が外れる「インシデント」が1回発生しており、4回目です。熊本市交通局は、学識者など第三者によるインシデント等検証委員会を5月中に発足させる予定です。
【スタジオ】
(畑中香保里キャスター)
「インシデント」について深掘りします。主に事故につながりかねない事態をいうのですが、中でも危険性や深刻度の高いものは、国が「重大インシデント」と認定して運輸安全委員会が調査に入ります。
運輸安全委員会によりますと、熊本県内では今年に入ってから、重大インシデントがすでに3件、発生しています。
▽1月…熊本市電が乗車ドアを開けたまま約90メートル走行
▽2月…熊本市電が走行中に乗車ドアが2回開く
▽4月…南阿蘇鉄道が停車位置を約400メートル超える
実は、今年これまでに全国で起きた重大インシデントは3件。つまり全て熊本県内で発生しています。まさに異常事態です。今回は停止した車両があと10メートル進んでいたら別の車両と衝突するおそれもありました。幅広い世代が利用する公共交通です。命に関わる事態とならないよう安全対策を徹底してほしいと思います。