"虐待など受けた子ども"が宿泊 児童相談所の「一時保護所」で職員が児童を虐待
熊本市児童相談所は19日、一時保護所の男性職員が保護をしていた子ども2人に対し頭をたたく虐待などをしていたことを明らかにしました。
(熊本市児童相談所の会見)
「このようなことがないよう、信頼回復に向けて取り組んでまいります。申し訳ございません」
あるまじき行為が起きたのは、虐待などを受け家庭で過ごせない子どもが宿泊や食事をする「一時保護所」でした。熊本市児童相談所によりますと今年2月9日、60代の男性職員が、施設内でぶつかってきた小学生の頭を複数の子どもの目の前で平手でたたいたということです。
また4日後の2月13日には、施設にいた別の中学生が「平手で軽くだけど男性職員からたたかれた」と児童相談所に訴えました。2人にけがはありませんでした。
男性は夜間の子どもの生活などを支援する非常勤職員で、今年3月に任期満了で退職しています。
児童相談所は防犯カメラの映像を確認し、医師や学識者らと協議した結果、小学生への行為を身体的虐待、中学生への行為を不適切な行為と結論づけました。
■熊本市児童相談所 青山和人所長
「日頃から虐待を受けている児童もいて、暴力に対して敏感になっている、トラウマになっている事情もあります。養育環境の改善をしていきたい」
【スタジオ】
全国の児童相談所での虐待の相談対応件数は年々増加傾向にあり、2022年度には約22万件で過去最多となりました。こうした中、国のガイドラインでは「躊躇せず一時保護を行う」と定義されています。
こども家庭庁によりますと、虐待を受けた子どもなどが過ごす「一時保護所」は全国に155か所あり、熊本県内には2か所あります。
一時保護所を使えるのは18歳までですが、今回、虐待などが確認された熊本市の一時保護所は、2月の時点で定員の20人を前後する満所の状態でした。
そんな中、全国では一時保護所での虐待も確認されていて、2021年度は6件発生しています。
児童福祉や虐待問題などに詳しい熊本大学教育学部の高岸幸弘准教授は、「一時保護所では、子どもの背景を理解した上でケアする必要があり、特に虐待を受けた子どもの言動を見極めるには高度な専門性やスキルが必要」と話しています。
その一方で、今回は、「子どもの訴えに対して大人が意思を尊重して対応できたことは、今後の子どものケアに前向きに働くのではないか」とも話しています。