熊本市庁舎建て替え問う住民投票条例案 市議会委員会で否決 本会議採決の見通しは
庁舎の建て替えをめぐっては、熊本市は約616億円をかけて本庁舎をNTT桜町ビルの敷地に、中央区役所を花畑町別館跡地に建て替える方針を示しています。一方で市民団体は、建て替えの賛否を問う住民投票を求めて1万8988人分の署名を集め、住民投票を行うための条例の制定を市に直接請求しました。
そして14日、熊本市の臨時議会に新庁舎建設の賛否を問う住民投票を行うための条例案が提出されました。条例案について大西一史市長は、制定に反対の立場で次のように述べました。
■熊本市 大西一史市長
「この6年以上にも及ぶ熟議を顧みないものであり、認めがたいものであると考えます。私は熊本市役所の新庁舎建設の賛否を問う住民投票条例を制定する必要はないと考えます」
一方、市民団体の代表は。
■市庁舎建設の賛否を問う住民投票をすすめる会 西川文武代表
「住民投票条例案を否決するというようなことがあれば、市民の意見を聞かないとは何事だ!と言われても仕方ありません」
多くの人たちが見守る中、条例の制定を求めました。
この後、条例案は、市議会総務委員会で審議されました。
■熊本自民党市議団 澤田昌作委員
「私自身は住民投票条例自体には反対するものではございませんけれども、昨年有志一同で実施したアンケート調査の結果からは、現時点において市民からは建て替えについて大変肯定的な意見の方が多かった」
■自民党熊本市議団 田中誠一委員
「多額の予算を投じてまで議会審議を補完するという大義が本当に効果的であると言えるのか」
委員からは、市の財政負担を軽減するための合併推進債の活用期限が迫っていることや、基本設計などの実施に必要な予算が議会ですでに可決されていることなどから、条例の制定に反対の意見が相次ぎました。そして、委員長以外の7人による採決が行われました。その結果、条例案は全会一致で否決されました。
■市庁舎建設の賛否を問う住民投票をすすめる会 大杉研至事務局長
「非常に残念です。これまで集めてきた署名の重みを十分感じていただいて、17日の採決に臨んでいただければ非常にありがたい」
条例案の最終的な採決は1月17日に行われます。
【スタジオ】
(緒方太郎キャスター)
総務委員会では否決されたわけですが、17日の採決の見通しはどうなんでしょうか。
(畑中香保里キャスター)
KKTの取材によりますと、主要な4つの会派はいずれも反対の姿勢を示しています。4つの会派は、最大会派の自民党市議団(14人)、第2会派の熊本自民党市議団(8人)、市民連合(7人)、公明党市議団(7人)で、あわせて36人、議長を除くと35人に上ります。また、無所属の議員3人も反対の姿勢で、現時点で反対は38人と、議員の定数47人の過半数を上回る見込みです。
(緒方太郎キャスター)
一方で、賛成の意見はどうでしょうか。
(畑中香保里キャスター)
賛成の立場を示しているのは、共産党市議団(2人)と、庁舎問題をめぐって去年、新たに結成した2つの会派の創生熊本市議団(2人)と新風熊本市議団(2人)です。このほか、無所属の議員2人が賛成する見込みです。
(緒方太郎キャスター)
現時点では反対の勢力が過半数を超え、条例案は否決される見通しが濃厚となっていますが、17日の最終的な採決の行方が注目されます。