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【解説】「会ったことない相手に恋愛感情」ロマンス詐欺の被害者に中高年が多いワケ

2024年4月5日 20:36
【解説】「会ったことない相手に恋愛感情」ロマンス詐欺の被害者に中高年が多いワケ
ロマンス詐欺 県内の2023年被害額は約1.4億円

(緒方太郎キャスター)
急増している詐欺の被害。その手口について、県警担当の倉本彩アナウンサーとお伝えします。

(倉本彩アナウンサー)
約455億円。大きな金額ですよね。実はこの金額は、SNSを通じて投資を勧誘する「SNS型投資詐欺」と、恋愛感情を抱かせて金銭をだまし取る「ロマンス詐欺」の去年1年間の全国の被害総額なんです。

どちらも「投資」を名目にしたケースが多く、新NISAなど個人投資ブームが背景にあると指摘されています。
今回は、このうち「ロマンス詐欺」について深掘りします。

去年1年間の熊本県内のロマンス詐欺の被害は20件。被害総額は1億4000万円に上りました。そんな中、3月には県北に住む60代の男性が約1億1000万円をだまし取られる事件がありました。

男性は、マッチングアプリで知り合った女性を名乗る相手から、「お金を増やす方法がある」と投資話を持ちかけられました。そして約20回にわたり、あわせて1億1000万円ほどをだまし取られました。男性は相手に恋愛感情を抱き、1回あたり500万円から1000万円を振り込んでいました。

一般的に、ロマンス詐欺は相手に恋愛感情を抱かせ、お金の話を持ちかけてきます。県警によりますと、例えば「一緒に住むためのお金を稼ごう」とか、「私が儲かったので、あなたにも儲けてほしい」といった言葉で投資に誘い込むそうです。

被害者で多いのが中高年 なぜ、だまされる?

(緒方キャスター)
だまされてしまうものなんですね。

(倉本アナウンサー)
なぜ、だまされるんだろう?と思いますよね。そこで専門家に話を聞きました。
SNSによる事件やトラブルなどに詳しい、成蹊大学の高橋暁子客員教授です。高橋さんは、コロナ禍を契機にマッチングアプリなどで“出会い”を求めるなど、被害増加の背景には、時代の変化が関係していると分析しています。

■成蹊大学 高橋暁子客員教授
「マッチングアプリ婚が昨年度の結婚のきっかけの1位になってます。そのぐらいマッチングアプリやSNSでの出会いというのが一般的になってます。詐欺師側としては、SNSでコピペした文章を送っているだけで、向こうの方から夢中になってお金を送ってくれるので、ちょっと手間はかかるが、コストがかからず、すごく容易に詐欺ができるということで、こちらに注力している状態」

男女ともに被害者となっていて、男性は50代から60代、女性は40代から50代が多く被害にあっています。これについては。

■成蹊大学 高橋暁子客員教授
「若者世代は生まれたころからSNSがありずっと使っています。だまされたりとか、トラブルになったりした経験もあるので、 ある程度相手を見極める力があります。一方、中高年はせいぜい LINEを使って知人とやり取りぐらいしかやってこなかった方が多いので、新鮮な気持ちでだまされてしまう面があるんだと思います」

SNSでは、日々の生活の中で知り合うことがないような国籍・職業・年代の相手とつながることができます。高橋さんは、こうしたSNSならではの特徴が、より恋愛感情を抱きやすくさせていると指摘しています。
■成蹊大学 高橋暁子客員教授
「本人がそこにいないからこそ、理想の姿をそこに投影して、どんどん自分の中でこの妄想を高めて、この人は自分の理想の人という 気持ちになっていってしまう。それによって、ますます夢中になるということも働きます」

(緒方キャスター)
直接会わずにやり取りを重ねるわけですから、相手に対する想像は膨らみますよね。

(倉本アナウンサー)
最近ではAIを応用した画像や映像の合成など手口が巧妙になっていて、そもそも実在する相手かどうかを確かめるのも難しいケースがあるということです。

被害を防ぐには

(緒方キャスター)
被害にあわないためにどういった点に注意が必要なんでしょう。

(倉本アナウンサー)
県警に話を聞きました。まず、「簡単に相手を信用しない」。相手のプロフィールを鵜吞みにせず、メッセージや電話を重ねながら信頼できる相手か見極めることが大切です。

2点目は、「投資の話が出たら気を付ける」こと。ロマンス詐欺で多いのが、「お金を貸してください」というよりも、「あなたにも儲けてほしい」、「一緒に投資しましょう」という話です。知り合って間もない人からお金や投資の話が出たら、一度立ち止まり詐欺を疑ってほしいとのことでした。

出会いを求める場としてマッチングアプリは便利なツールですが、利用する際は危険性も意識することが重要です。