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【新発見】治療の進展につながるか 不妊メカニズムで新たな発見 熊本大学

2023年10月26日 17:52
【新発見】治療の進展につながるか 不妊メカニズムで新たな発見 熊本大学

厚生労働省によりますと、今や夫婦4.4組にひと組の割合で、不妊の検査や治療を受けているといわれています。熊本大学が不妊のメカニズムで新たな発見をしました。女性の卵子の形成に関わる細胞分裂には、ある物質の動きが関与していることを見つけました。この発見が今後、不妊治療の進展につながる可能性があるとみられています。

発見したのは、不妊のメカニズムについて研究している熊本大学発生医学研究所の石黒啓一郎教授のチームです。石黒教授の研究チームは、これまでも不妊原因の仕組みの一部を世界で初めて解明したほか、男性側の原因となる「無精子症」の解明につながる研究成果を発表してきました。

通常、卵子や精子は、「減数分裂」という特殊な細胞分裂で作り出されます。男性が持つ精巣では、思春期以降ほぼ生涯に渡って精子が作られるのに対し、女性の卵巣では、胎児期、母親のお腹にいる、しかもごく限られた期間でしか減数分裂が起こらず、女性の妊娠可能な卵子の数は胎児のうちに決まります。

このメカニズムを解明すべく今回、新たな発見となったのが、減数分裂の前に関与するがんを抑制するタンパク質と、別のタンパク質の動きが阻害されると卵子が死滅してしまい不妊となる点です。

胎児の卵子形成不全の原因が、母体の遺伝によるものなのか、生活習慣などが原因なのかはまだ分かっていませんが、適切に卵子が作られるためには、母体の十分な栄養摂取や薬は医師と相談し慎重に服用することが大切だといいます。

■発見した熊大発生医学研究所 島田龍輝助教
「胎児期の非常に限られた期間で女性の生殖ライフスパンが決まるのは驚き。どういう卵が無くなって選別されていくのか着目して、詳細なメカニズムを解明していきたい」

今回の発見は、イギリスの科学学術誌「ネイチャーコミュニケーションズ」のオンライン版に掲載されています。

【スタジオ解説】
卵子は、女性がまだ胎児の頃に、卵子の元が出来て一生分の卵子の数が決まります。

その時に体の中のブレーキが外れると卵子ができますが、ブレーキがかかったままだと卵子ができません。そのブレーキがあるタンパク質を見つけたのが今回の研究です。

この先、ブレーキが乱れる原因が分かれば、不妊治療につながる可能性があります。例えば胎児の母親が妊娠中に摂取した食事や薬がブレーキに影響しているかもしれません。今後それを突き止めると、女性の不妊の原因解明につながる可能性があります。