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「作物を早く作りたい」 県発注工事で19haの農地に海水流入 熊本県と業者が説明会

2024年3月12日 18:06
「作物を早く作りたい」 県発注工事で19haの農地に海水流入 熊本県と業者が説明会

天草市河浦町で熊本県が発注した樋門の工事中に誤って海水が農地に流れ込んだ問題で8日、県や工事の受注業者による農家などへの説明会が行われました。

この問題は2月、天草市河浦町で県が発注した業者が工事をした堤防の樋門から大量の海水が田畑に流れ込んだものです。業者が樋門の取り換え作業を門を開けたまま翌日に持ち越す際に起きたとみられます。

県によりますと、工事業者は別の業者が近くに置いていた土のうで海水の流入を防げると思い込み、門を開けたまま現場を離れたということです。しかし、夜の満潮時に海水が土のうを越え流れ込んだとしています。

この問題で、県は8日、天草市河浦町で周辺の農家などへの説明会を開きました。
■県の担当者
「私ども県が発注した工事におきまして、農家の皆様、そして関係者の皆様に多大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます」

県の担当者は経緯を説明した上で、被害状況を個別に調査しながら補償をすると説明しました。これに対し、農家からは…。
■参加した農家
「補償はいつしてもらえるんですか?タマネギも枯れている」
「私たちも早く、作物を作りたい。補償があるからいいという問題ではない」
「20年、地主から畑を借りして農業をしているが、地主にも対応してもらえれば」

補償や塩分除去のスケジュールなどに関する質問が相次ぎました。
■参加した農家
「できるだけ作物ができるような環境を早く作っていただきたい。それだけです」
「キャベツや大根なども腐っている。最低でも3年目くらいからは農業ができるようにしてもらわないと」

■工事を受注した開成工業 徳安正範社長
「本当にご迷惑をかけましたと、申し訳ない気持ちの一点でございます。本当に申し訳ございませんでした。一刻も早く農地の回復、また被害の補償等に全力で取り組んでいく所存です」

説明会の翌日。天草市河浦町では、田んぼの塩分を取り除くための水張り作業をする農家の姿が。

■農家 井本美貴雄さん
「少しでも塩分を取り除こうと思って水をためています。不安は少しはありますけど、また水で流せば大丈夫だと思う」

井本さんは約1.2ヘクタールの田んぼで早期米を栽培していますが、海水の流入を受けたため、今年、ここでのコメ作りはあきらめることにしました。田んぼや畑がいつ復旧するかは不透明で、県や受注業者はできるだけ早く塩分を取り除き、補償を行う方針です。