出生数最少… 子育て・少子化対策 富山県新年度予算案から考える
エブリィでは県の2024年度予算案から、県政の課題を考えるシリーズをお伝えしています。3回目の29日は少子化対策と子育て支援についてです。神林記者のリポートです。
国が27日発表した速報値では2023年、県内で生まれた赤ちゃんの数は5859人で統計史上最少を更新しました。出生数の減少は速報値時点で11年連続です。
少子化が危機的な状況となる中、県が2024年度予算案のキーワードに用いたのが「こどもまんなか」です。
年収910万円未満の3人以上の子どもがいる世帯やひとり親世帯を対象に、私立高校の授業料や入学料を実質無償化するほか、2歳児以下の保育料を第3子以降で完全無償化、県の子育て応援券の拡充などを盛り込んでいます。
こうした県の施策について街の人は。
40代 4人の親
「どんどんやっていただければ助かるというのが率直な意見です。お金の面で大変だなっていうのはありますんで、いろいろしてもらえれば助かる」
40代2人の親
「2人。2人だと(この政策は)微妙だなと思って、中間なんで何とも言えん対策だなとはちょっと思ったんですけどね」
30代 2人の親
「これから子どもを育てていきたい親世代の方からしたら、これからの将来のこと考えていいのかなみたいなふうには感じますけど。簡単に3人目…じゃあ今からどうのこうのって言われたら、ちょっと現実的ではないところもある」
男性
「単純に比較するわけじゃないけど、東京都とかもうちょっと拡充した方針を示されている。大きくなってからの支援とか第3子を持たなくてもあればいいんじゃないかなと」
富山では若い女性の県外への転出も多く、県は男性の育児休業の取得促進や働く環境の改善など「女性活躍」にも力を入れています。しかし、さまざまな課題があります。その1つが、小学校の放課後などに子どもを預かる「学童保育」についてです。
富山市の「わかくさ学童の家」です。運営するわかくさ福祉会は、2000年に初めて学童保育を開設し、現在は9つの施設で320人ほどの子どもを受け入れています。
わかくさ学童クラブ放課後児童支援員 田口直次さん
「年々少しずつ学童というものが認知されてきた。やはり学童は必要になってきたかなというのは肌感覚であります」
保護者
「やっぱり子ども1人で家には置いておけないし、6時とか7時まで預かっていただけるのは非常に助かります」
県内では学童保育を利用する家庭が増えています。利用する子どもの数とクラブの数はこの10年ほどで1.4倍に増えました。
施設の整備が追い付かないことから県内では学童保育が利用できない「待機児童」もいるのです。
県内の学童の待機児童は2022年度、2021年より減ったものの86人でした。
こちらの学童でも、2024年度を前にすでに申し込みが定員を超え待機児童がでているといいます。
指導員
「新一年生の申し込みだけで超えちゃっているので、現段階で。例年ですと新しい年になってやっと申し込みが増えてくるっていう状況だったのに、今年はあっという間に超えちゃってて」
全国では子どもを預けられないことで離職せざるをえない女性もいて、学童の待機児童が社会問題化しています。一方で、学童では「担い手不足」が深刻です。
わかくさ福祉会は9つの施設でスタッフは27人。夏休みなどは午前中から施設を開けるため、人のやりくりが難しいと言います。
わかくさ福祉会 伊藤克宣総務主任
「基本的に平均的な職業と比べたら若干待遇が給料面とかは低いのかなというのは感じています。まあ、あと働きにくい、放課後から夕方にかけての仕事がメインになってくるので…」
国は補助金を拡充して待遇改善を図りますが、学童の支援員の資格を取るハードルが高いなど、改善すべき点は多いといいます。
伊藤総務主任
「やっぱり単純に、パートで言えば時給が高くなればいいと思うけど。基本的に福祉の仕事が低い感じがするので、そこを底上げしないと変わらないのかなと思いますけど」
田口さんは子どもの成長を見守るやりがいのある仕事だが、待遇の改善も必要だと話します。
わかくさ学童クラブ放課後児童支援員 田口直次さん
「こどもまんなかという中の、子どもの中に学童もしっかり入れていただいて、それなりの予算も付けていただいて、それなりのことをしていただけるといいなと」
「こどもまんなか」の富山にするためには様々な支援が必要です。
県の2024年度予算案は、県議会の2月定例会で審議されています。