少子化で担い手不足深刻 どうする? 富山県内の祭りの継承
人口減少社会について考えます。富山県内で進む少子高齢化は地域の祭りや伝統芸能の継承に影を落としています。模索を続ける各地の現状を取材しました。
毎年10月に行われる射水市の新湊曳山まつりです。江戸時代から続く伝統の祭りで国の重要無形民俗文化財に指定されています。しかし、祭りを受け継ぐ地元の地域では、少子高齢化による祭りの担い手不足が進んでいます。町によっては地域の外から助っ人を呼んで人手を補っています。
こちらは5月に南砺市で行われた城端曳山祭です。2024年は、地域と縁がない愛知県の大学生25人が曳山の引き手を務めました。さらに、これまで男性に限られていた演奏担当「地方」に女性が初めて参加することに。2人の女性が紋付はかま姿で三味線と笛を担いました。
地方 山下麻菜美さん
「とても伝統あるお祭りなので、そういったお祭りに参加させていただくのはすごく光栄だなって思います」
5月、朝日町宮崎で行われた稚児舞です。新潟県境に近い宮崎地区で毎年この時期に行われていて、700年以上続く歴史があるとされています。男の子が「槍おどり」で大漁を祈願し、花笠をかぶった女の子が「扇おどり」で漁の安全を祈ります。
住民
「何百年も続いている稚児舞ですからね。ずっと続けてもらいたいですね」
「ここの人たちの願いじゃないですかね、繋いでいくということが。やっぱり無くなるとさみしいですからね」
子どもたちは2日間かけて、地区のおよそ100軒をまわり、舞を披露しました。2024年は14人の子どもが参加しましたが、地区では少子化が進み、毎年子どもを集めるのに苦労しています。
この地区に住む90歳の男性は子どもが多かったころを懐かしく振り返ります。
河内啓さん
「(自分が子どもの頃は)1クラスに30人はおったんじゃないかねえ。まあ賑やかやったわね」
かつては、子どもの数が減るということを考えもしなかったといいます。
河内啓さん
「実際に(稚児舞する)児童数がそのまま継続できるか。できないという心配ありますわね」
4月下旬。稚児舞に参加する子どもたちが住民らの指導のもと練習に励んでいました。
住民たちは、稚児舞の担い手たちへ期待を寄せる一方、今後も引き継いでいけるのか、不安も抱えています。
宮崎稚児舞保存会 水嶋征平代表
「まず練習始まる前の子どもの確保ですかね。協力してくれる方には、できるだけ声かけさせていただいて、是非参加してくださいと、お願いしているところです」
宮崎地区の児童数は減少を続けています。
戦後間もないころは200人以上いましたが、1994年には37人にまで減り、2024年は20人となっています。
稚児舞は、もともと小学2年生の男の子だけ踊ることができました。しかし、子どもが減ったため徐々に参加範囲を広げ、今では4年生の男女までを加えています。さらに2024年は、地区外からの子ども5人を迎え入れました。
宮崎稚児舞保存会 水嶋征平代表
「できれば本当は、宮崎の地区の子たちだけでできればいいんですけど、もうそういう時代ではないと思っているので。伝統を維持していくことがまず第一優先かなと」
地区外から参加した児童
「あんまりつながりはないけど、頑張りたいなって思って、やりました」
地区の児童
「宮崎じゃなくてもほかのところからいっぱい来て、稚児舞を盛り上げてほしいなって、思います」
少子化の中、地域の伝統をどのように引き継いでいくか住民たちの模索が続いています。