黒部峡谷鉄道 今シーズンの全線開通 断念か
2024年10月の全線開通を目指していた黒部峡谷鉄道についてです。今シーズン、トロッコ電車の全線開通での運行を断念したとみられることが、複数の関係者への取材で分かりました。観光の目玉と期待されている「黒部宇奈月キャニオンルート」の一般開放についても影響は避けられない状況です。
2024年1月の能登半島地震で、黒部峡谷鉄道は宇奈月駅からおよそ14キロ上流にある鐘釣橋が、鉄骨の橋げたなどに被害を受けました。このため、トロッコ電車は宇奈月駅と猫又駅までの区間で4月、営業を開始していますが、終点・欅平駅までの全線開通については10月1日ごろを目指すとしていました。
黒部峡谷鉄道は落石防止の工事を行ったうえで、9月末までに橋の復旧工事を行うとしていましたが、複数の関係者によりますと、鐘釣橋と周辺の斜面の工事に時間がかかることに加えて、欅平駅の周辺でも被害が確認されていて、今シーズン、トロッコ電車の全線開通での運行を断念したとみられることが分かりました。
これにより影響が避けられないのが「黒部宇奈月キャニオンルート」です。
黒部峡谷トロッコ電車の終点・欅平駅と、立山黒部アルペンルートの黒四ダムを結ぶルートは、「黒部宇奈月キャニオンルート」と名付けられ、当初は2024年6月に一般開放される予定でした。工事用のルートを観光用に整備するもので、地下トンネルや竪坑エレベーターなどを通じて、黒部峡谷の電源開発の歴史を知ることができ、県は2023年、旅行商品について、基本コースで1人当たり13万円程度となると発表するなど、新たな観光の目玉と期待していました。
しかし、2024年1月の地震被害を受けて、一般開放は10月1日ごろに延期となっていました。さらに今シーズン、トロッコ電車の全線開通での運行が難しい見通しとなり、この日程についても影響は避けられない状況となっています。
黒部峡谷鉄道はKNBの取材に対し「全線開通の時期に変更が出れば、しかるべきタイミングで伝えたい」としています。