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夏場に災害発生 避難所の暑さ対策の現状は

2024年9月5日 21:31
夏場に災害発生 避難所の暑さ対策の現状は
KNBテレビとラジオの番組では9月に「アクション 防災とやま」というキャンペーンで、災害への備えなどをお伝えします。エブリィでの初回は、災害時の避難所となる体育館についてです。厳しい暑さが続いていますが、避難所となる県内の公立学校の体育館には、ほとんど冷房設備がありません。夏はどのような避難生活が想定されるのか、中島記者のリポートです。

今年元日に発生した能登半島地震。富山県内では最大震度5強を観測し、一時は最大でおよそ1万5000人の避難者が発生しました。417か所あった避難所は1月26日までに全て閉鎖しました。

一方、石川県ではおよそ4万人が避難所に身を寄せました。体育館など1次避難所での避難生活が長く続き、8月下旬の時点でも455人。この夏の厳しい暑さが被災地を襲いました。

避難者「湿気がけっこう体にくるから」「電気屋に頼んでるけど中々クーラー入らなくて」

避難所となった輪島市にある小学校の体育館には、石川県から急きょエアコンが支給されたものの、電気工事が完了しておらず、すぐには使用できませんでした。近年の災害級の暑さの中、冷房設備がない環境で過ごすのは危険です。

文部科学省の調査によると、おととし9月時点で富山県内の公立小中学校の体育館や武道場、ホールなどの冷房の設置率は0.6パーセント。全国ワースト4位です。

KNBが富山県内の各自治体の教育委員会に体育館の冷房設備について確認したところ、公立小中学校246校のうち、舟橋中学校1校のみが冷房設備があると回答しました。

一部の自治体では防災用に可搬式のスポットクーラーを備蓄したり、企業などとの協定により災害時にレンタルすることになっていたりしますが、ほとんどは避難所となった場合、学校の備品の大型扇風機などで対応するとしています。

防災の専門家などでつくる「避難所・避難生活学会」の水谷常任理事「近年はエアコンなしというのは厳しいかなと思います。ですから費用がかかりますが、少しずつ拡充していくというのが一点、それと移動式エアコンも、たとえば県で10~20なり保有しておいて、災害が起きた時に移動させる。そうすれば、かならずしも全ての避難所にエアコンを設置することも必要なくなるわけですよね」

避難所・避難生活学会は今年7月、全国で初めて大阪府の小学校で、酷暑での避難生活を想定した宿泊訓練を行い課題を検証しました。この日の最高気温は35.4度。エアコンのない体育館でスポットクーラー2台と扇風機10台を稼働させましたが、夜間でも体育館の気温は30度前後、湿度は60パーセント台後半から70パーセントで推移したといいます。

水谷常任理事「これが数日もしくは1週間以上になると、とてもじゃないけど耐えられないという意見もたくさんありましたので、避難された方の健康状態を守っていくっていうのは、今までの避難所のままでは課題があるのかなと」

富山県内の学校の体育館でも、このような過酷な暑さでの避難が予想されます。背景には高額な費用があるため、体育館への空調設置が進んでいません。

県教委によりますと設置には5000万円から1億円ちかくかかり、さらに多くの体育館は断熱改修の工事も同時に行わなければ効果が低いといいます。

富山市では今年度、体育館への空調設置にかかるコストを試算していて、工事費用やランニングコストを割り出し検討するとしています。

また、再来年に開校する義務教育学校の「水橋学園」で、市内で初めて体育館に空調を導入します。

突然起こる自然災害によって、どのような環境での避難生活が想定されるか、1人1人が考え、備えておくことが大切です。

水谷常任理事「個人でできることとしてはクーラーボックスを用意する。首筋を冷やすとか濡れタオルをかけるとか、いろんな対策があると思いますけど、夏場の熱中症対策と考えていくと共通している部分もありますので、検討してもらったほうがいいかなと思います」

冷房設備があっても電気などが止まると使用できません。また水が不足しがちになる被災地では水分補給を控えてしまうことで熱中症のリスクが高まります。

暑さが続く間は、非常用持ち出し袋に水分や塩分を補給するものや冷却グッズなどを入れておくと安心です。
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