イタイイタイ病原因企業へ 被害地域の住民らが立ち入り調査 岐阜県飛騨市
神通川流域で発生した四大公害病の1つ、イタイイタイ病の原因となったカドミウムを排出した岐阜県の神岡鉱業に対し、被害地域の住民らがおととい、立ち入り調査を行いました。
神岡鉱業は、53回目の立ち入り調査で初めて、鉱山内にある鉱石を露天掘りした跡を報道機関に公開しました。
今回の立ち入り調査では、報道機関の記者らが神岡鉱業の車に乗り込み、およそ30分かけて鉱山内に移動しました。
数家解説委員
「標高1150m、栃洞の採掘場跡です。かつてはこちらで鉱石を露天掘りしていました。植生を復元する作業が一旦完了したということです。住民らの立ち入り調査でこの場所が報道機関に公開されるのはこれが初めてです」
露天掘りは1976年から2005年まで行われていました。
数家解説委員
「向こうに見える山頂、そこからずっと尾根伝いに向こうまで続いていたんですが、露天掘りでここから鉱石を掘り出したということです」
その後、岩盤が剥き出しになっていましたが、おととしまでに跡地の19万平方メートルのうち10万平方メートルを土で覆いました。
雨水が岩盤に触れると汚染水が発生するおそれがあり、これを防ぐためです。
住民側
「植栽でその手前側、結構、山肌が見えているんですけどそこは現在進行形ですか?」
神岡鉱業側
「岩盤剥き出しで覆土は難しいんでいろんな工法を検討しながら進めていきたいと思いますが今すぐやるというのは考えていません」
全体立ち入り調査は、1972年のイタイイタイ病裁判で患者らが勝訴した際に原因企業の三井金属と結んだ公害防止協定に基づいて毎年行われています。住民のほか弁護士や科学者ら60人あまりが3つの班に分かれて調査しました。
午後からは、住民の代表が神岡鉱業側の取り組みなどについて質問しました。
住民側
「より高いレベルでの発生源対策に向けて御社とより緊密なコミュニケーションを図っていきたいと考えております。御社のご意見をお聞かせください」
神岡鉱業 岡田洋一社長
「何でもかんでもというより個別にお互いテーマがあってお互いが確認することによって一歩、高めに行けるようなものであれば、是非、検討しながら進めることができればなと考えておりますので」
この他、住民側が提案した新たな実験方法について神岡鉱業側が取り組みを始めたことも紹介されました。
神通川流域カドミウム被害団体連絡協議会 江添良作代表理事
「『協働』でともに目標に向かって進んでいくと、これが、きょう、確認できたということは大きな成果だと思っています」
上流に鉱山がある限り、下流に暮らす住民の取り組みが終わることはありません。