2019年に焼失 世界遺産・首里城の復元に井波彫刻の技
2019年の火災で焼失した沖縄の世界遺産、首里城の復元に富山の井波彫刻の技術が生かされています。復元に向け力を尽くす彫刻師の思いを梅本記者が取材しました。
梅雨に入り、むし暑かった6月下旬、彫刻作業はヤマ場の一つという、龍の顔にさしかかったところでした。
井波彫刻師 砂田清定さん(74)
「いや、これはこれでいいとこきたんで、これ胴やけど、これ、足が…これでいいと思うよ」
作業を進めるのは、南砺市の井波彫刻師、砂田清定さん74歳。首里城の平成の復元にも携わった経験を持ち、今回は、仲間の彫刻師と、城の顔ともいわれる正殿の唐破風の復元にあたっています。
砂田清定さん
「復元の仕事は、忠実にもとのあった姿を、復元するということですから」
梅本記者
「復元のほうが難しいがですか?」
「まあ、100倍難しいですよね。自分の考えを入れるとこ、そんなにないんで」
沖縄の歴史と文化の象徴である首里城は、2019年の火災で正殿など主要な建物を焼失しました。現在、2年後の完成を目指して復元が進められています。
砂田さんが担当する「唐破風」は大きさが縦1.8メートル、横8.6メートルで、向き合った2匹の龍などが彫られたものでした。
砂田清定さん
「絵を描いたり粘土原型を作って、準備段階のほうがもっと4~5か月かかっているんですね。原型作りが大変だったですね」
忠実な復元に向け、図面のほかに大正時代に撮影された写真も手元に置いて、作業を進めていました。
砂田清定さん
「沖縄にしかない、その独特の手の指の数とか、顔でいえば目の丸みのところとか特徴とか。沖縄の人もそれに、ものすごくプライドを持って思っておられるんで」
「少しだけ、気持ち下げて…ベターッとしたものにしてと…」
ともに復元にあたる 永田幹生さん
「厚さが決まっているもんだから、落としすぎたら大変なことになるもんで、そこが、神経を使うところかなと思います」
龍の顔を彫る作業が始まって2週間。龍の顔がはっきりしてきて、粗彫りと呼ばれる作業がほぼ終わりに近づいていました。
8来月後半からは仕上げの作業に入る計画で、2025年1月の完成を目指しています。
砂田清定さん
「(沖縄県民が)本土のほうへ行かれたり、また本土から沖縄へ戻られる、いろんな場面で迎えてくれるのはこの首里城で、それをまた見守ってくれているのは阿吽の龍なんで。そういう方々にも親しみを持って彫刻を見ていただけるように努力したいです」