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ないごて!?地図にはあるのに実在しない?計画から90年経った今も整備されていないナゾの公園

2023年11月1日 13:05
ないごて!?地図にはあるのに実在しない?計画から90年経った今も整備されていないナゾの公園
身近な疑問の解決を目指すシリーズ「ないごて!?」(鹿児島弁でなんで!?)。都市計画決定から90年経った今も整備されていない大規模な公園鹿児島市にあります。JR鹿児島中央駅から約1キロの高台、絶好の立地に計画されている「武岡公園」です。地図には載っているのに実際はまだ存在しない公園のナゾに迫ります。

絶好の立地に計画も90年整備されず

(記者)
「鹿児島中央駅から1キロの公園、皆さん知っているのでしょうか」

 天文館で聞きました。

(街の人)
「知らなかったですね。一望できるところだもんね」
「知らないですね。(記者:昭和8年から計画あったみたいで‥)えー!うそでしょ?準備はまだなんですか?」

(記者)
「鹿児島市の長島美術館です。桜島がきれいに見渡せます。この周辺に公園が整備される予定なんです」

 計画されている場所は、鹿児島中央駅から約1キロ、標高約120メートルの高台。「武岡公園」です。昭和8年、1933年にこの場所は「風致公園」として都市計画決定されました。

 都市計画決定とは、公園の区域や形を定めることです。「風致公園」は自然地理条件から眺望に恵まれた公園です。鹿児島市には、城山公園、寺山公園、錦江湾公園があります。武岡公園も眺望、景観を生かした緑豊かな空間となるよう、鹿児島市が計画しています。

(周辺住民)
「できるかもというのは10年以上前から聞いていて。話がなかなか進まないのかなと思ったりしてたが早く造ってもらえたら嬉しい」

(周辺住民)
「期待はしてる。ただいつになるかはわからない。恐らく10年後ぐらいじゃないの?できたら素晴らしいでしょうね」

 地図にはすでに載っているのですが…実際はまだ存在していません。都市計画決定をして市街地で開設されていないのは「武岡公園」だけです。

 ないごて90年たった今も整備されていないのでしょうか。

整備されない理由は「市街地の復興」

(鹿児島市公園緑化課 鮫島忍課長)
「昭和8年4月に都市計画決定されている。その後、戦災復興や土地区画整理事業で市街地の公園をまず整備する。市街地の復興がまずあった」

 鹿児島市は第二次世界大戦で市内全域が大空襲を受け市街地の93%を消失しました。これを復興するため昭和21年から戦災復興事業として市街地の中心部の中央公園、共研公園、天文館公園などを整備。それが優先されました。

(鹿児島市公園緑化課 鮫島忍課長)
「(記者:武岡公園は戦災復興に入らなかった?)位置づけが風致公園。自然を守る。それよりもまず住環境を整えるのが最優先だった。道路、公園、インフラの整備が先行された」

整備に取り組まなくても問題はない?専門家の見解は…

 都市計画決定後、速やかに整備に取り組まなくても、問題はないのでしょうか?

(鹿児島大学 宇那木正寛教授)
「全国的に戦後戦災復興事業で数多くの都市計画施設について都市計画決定されているがまだ事業化されていないものがたくさんある。用地取得に時間がかかると思う。ただ、90年というのは長いという気はする」

 都市計画決定された区域では市が土地を取得していなくても整備の妨げになるような建物の建築は厳しく制限されます。90年間、計画地の所有者は建築の制限がかかっているのです。

(鹿児島大学 宇那木正寛教授)
「(全国では)訴訟が起こってる。事業化されなくて制限ばかり続いているということで。最高裁の考えは(都市計画は)時間がかかるものだと。今回の場合90年だから長いがかなり長い年月で制約があってもそれは受任の範囲内だということになる」

 鹿児島市は1人当たりの都市公園の面積が8.01平方メートルと、全国的にみると低いのが現状で宇那木教授はそうした面からも公園整備は急いだほうがいいと話します。

(鹿児島大学 宇那木正寛教授)
「神戸市や岡山市は1人当たりの都市公園の面積が広い。鹿児島はまだまだなので広げた方がいい。風致公園に限らないが防災の観点からも公園の整備は急いだほうがいい」

整備に取り組もうとしたら新たな問題が…市は早期の整備目指す

 住環境の整備も落ち着き鹿児島市は再び武岡公園の整備に取り組もうとしましたが、当時の図面がおおまかにしか書かれていなかったことや、資料も少なかったため、はっきりとした公園の区域が分かりませんでした。

 鹿児島市は2012年から再び土地所有者や地形を調べ、2016年に都市計画決定の変更を行いました。
 今、計画している土地の6割の取得を終えています。公園の広さは4.8ヘクタール。展望台を設置し、市街地を一望できたり、花や木など四季を感じられる空間ができる予定です。

(鹿児島市公園緑化課 鮫島忍課長)
「市街地錦江湾桜島天気のいい日は霧島連山まで一望できるいい立地にある。憩いの場や散策で使ってもらうのもだが市民観光客がこの眺望を見に来たいと足を運んでくれるような魅力ある公園に整備したい」

 鹿児島市は今年度も土地取得に取り組み早期の完成を目指したいとしています。90年ごしの整備が実現しそうです。(KYT news every.かごしま 2023年6月1日放送)