<衆院選>今回から”区割り変更” 大幅に範囲が広くなった「宮城4区」 前職2人と新人2人の訴え
「宮城4区」は港町や農村、仙台のベッドタウン、被災地、原発など多様な地域性と地域課題があり、日本の縮図ともいえる選挙区だ。
この選挙区に挑むのは、4人。
自民党と立憲民主党で閣僚経験のあるベテランに、日本維新の会とれいわ新選組の新人が挑む。
伊藤信太郎候補(自民・前)
「予算を獲得し、実行し、皆さんの思いを実現できるのは、与党・自由民主党公認の伊藤信太郎しかいない」
自民党・前職の伊藤信太郎候補(71)。
旧4区で7回当選、外務副大臣や環境大臣などを経験してきたベテラン。
伊藤候補は、フランス語や中国語など4つの外国語が堪能で、国連の演説でも手腕を発揮してきた。
政治家になる前は、映画監督。松任谷由実さんのミュージックビデオも手掛けるなど異色の経歴の持ち主で、国会では文化行政に明るいことで知られている。
伊藤信太郎候補
「文化芸術は、外交交渉のうえでは重要。日本が尊敬されているのは文化芸術」
伊藤候補は、衆議院議長などを務めた父・宗一郎さんの地盤を継ぎ、宮城・加美町を拠点に活動してきた。
しかし、今回の”区割り変更”で加美郡が外れた。
伊藤信太郎候補
「私にとっては残念を通り越し、断腸の思い」
その対策として、新たに加わった石巻圏の農林水産票を一から掘り起こそうと、魚市場などを視察。海水温度の上昇による影響を、聞き取った。
伊藤候補は、人口減少で国内需要が縮小する中、外交経験を活かして魚介類やコメの海外販路を拡大させ、地域経済を再生させると訴えている。
伊藤信太郎候補
「日本の農林水産物で作った食品は人気があるし信用がある。ちゃんとマーケティングすればものすごい需要。農林水産業は成長産業になる」
大林正英候補(れ新・新)
「日本の腐った政治を変えるんです。皆さんと一緒にやれば必ずできる」
れいわ新選組の新人 大林正英候補(60)。
東京生まれで、ITのベンチャー企業を経営。東日本大震災を機に復興支援員として岩手の被災地に赴任した後、釜石市議を6年務めた。
大林正英候補
「あんな辛い思いをして、大切なものに無くしたにもかわかわず、明るく振る舞う。言い方はなんですが(被災者に)元気をもらった」
経済格差が広がり、物価高などで家計が厳しさを増す中、消費税を廃止し個人消費を伸ばすと訴えている。
大林正英候補
「1丁目1番地、消費税廃止。廃止できないわけがない」
「生活が苦しい人が沢山さんいる。私も苦しい。政治家はなぜ分からないのか、よほど良い生活をしているのか」
さらに、復興支援員の経験を活かし、南海トラフなど次なる災害に備え防災省設立を提唱。東北の被災経験を、全国の防災や復興に活かすと主張している。
大林正英候補
「『(石破首相が)震災から13年も経って防災省は、やっぱりやらなきゃ』というのは遅い。日本は災害が次から次へと起きる国なので災害ノウハウが世界一溜まる。国際貢献として日本の防災対策の仕組みは貢献できる」
佐藤雄一候補(維新・新)
「若者世代・現役世代に徹底投資をする。今までの悪い流れを断ち切る」
4区で最年少の45歳、日本維新の会・新人の佐藤雄一候補(45)。
石巻市河南地区を地盤に、石巻市議を6年半務めた。
佐藤候補の地元では、少子高齢化が進んでいる。
少子化対策は地方議会では解決できないとして、今回初めて国政にチャレンジした。
佐藤雄一候補
「一つの自治体が少子化をどうすっぺと考えても、なかなか結果が出ない。国策として政策を打ってしっかりやっていかなければいけない」
佐藤候補は、消費税や所得税などの減税に加え、教育無償化などで現役世代の所得を増やすことで少子化に歯止めをかけると主張している。
佐藤雄一候補
「現役世代に、徹底投資をする。これは高齢者を蔑ろにするものではなく、若い人が元気になれば高齢者を支えることができる」
「若者の給与明細を見てもらえばわかるが、働いている人は結構な金額を引かれている。国の予算の結構な額が、高齢者の社会保障費や医療費に消えている。そういうところを見直して、若者世代に徹底的に支援してしていくと将来(若い世代が)高齢になった時よい循環が出来ていると良い」
安住淳候補(立憲・前)
「今回は皆さんが自民党にお灸をすえる番、そう思いませんか、そうすれば自民党もよくなる」
立憲民主党・前職の安住淳候補(62)。
旧民主党政権では財務大臣として東日本大震災の復興予算を策定。
その後、立憲民主党の国会対策委員長として、与党との国会運営の交渉役を担ってきた。
牡鹿半島出身で、父は旧牡鹿町長。NHK政治記者を経て34歳で政界に。
石巻圏の労働組合をはじめ、農業・水産業など保守層にも浸透し、旧5区では9回連続当選と自民候補を寄せ付けなかった。
安住候補は、若い世代の人口流出が進む中、外国人の労働者を積極的に受け入れることで地域の活性化し社会保障の維持を図ると訴えている。
安住淳候補
「思い切って就労者だけに限らず、外国の人に家族ごと来てもらって、積極的に地域コミュニティに入ってもらう。明治維新や戦後と同等の第三の開国をして、優秀な技術者に住んでもらえる街に変えていきたい」
今回、”区割り変更”で富谷や多賀城など仙台のベッドタウンまで選挙区が広がった。
安住淳候補
「初心に帰ったつもりでやらないととても厳しい選挙だから頑張る」
塩釜の住宅地での安住淳候補)皆さん安住淳です、初めまして
”区割り変更”対策として、この2年間各集落を訪ね歩き、選挙区すべての市町村に後援会を設立。盤石の体制で臨んだ選挙戦では、自然と支持者に囲まれ手ごたえを感じている様子だ。
安住淳候補
「一緒に運動したから、和が広がった。選挙というのは色んな人と出会いが楽しい。勝敗も気になるけど、色んな人との出会いを楽しみにしている」
10月27日の投開票まで、残りわずか。4人の候補者は、訴えを続けるー。