東北から宇宙へ!仙台の宇宙ベンチャーが目指すのは「誰もが宇宙で生活できる世界」
仙台市に本社を置く東北大発の宇宙ベンチャー、ElevationSpace。
代表取締役CEOの小林稜平さんは東北大大学院在学中の2021年に起業。大学の研究者やJAXAの元職員らとともに「誰もが宇宙で生活できる世界」を見据えて事業を展開している。
ElevationSpace 小林稜平さん
「決して夢物語ではなくて20年後30年後に地球上だけでなく地球の軌道上や月、火星で人の経済活動が行われていく、そんな世界が来る。」
民間企業のロケットの打ち上げが進められるなか、ElevationSpaceが目指すのは打ち上げの”その先”
それは、打ち上げた小型衛星にカプセルを搭載し、そのカプセルが地球に再突入して戻って来られる仕組み。
宇宙空間でしかできない実験環境を提供する取り組みはすでに多くの企業から注目を集め、初回の打ち上げ枠は「完売」している。
この取り組みに注目しているのは企業だけではない。この日、小林さんを訪ねたのは元防衛大臣の小野寺五典議員だった。
小野寺五典 衆議院議員
「再突入とか非常に重要な能力を持つ開発。あらゆる分野に活用できると理解している」
民間利用から安全保障まで幅広く関わる宇宙産業について意見をかわした。
2026年に初めての打ち上げを目指す小林さん。実現に向けて、一緒に動いているのは地元・東北の中小企業だ。
こちらは青葉区栗生のコスモスウェブ。
過去にはJAXAに部品を納めた実績もあるこの企業は今回、エレベーショスペースの小型衛星・制御の一部を司る電子基板の「設計」に携わっている。
宇宙空間で確実に動く部品を作るため、材質の強度など試行錯誤を繰り返した。
コスモスウェブ 三嶋将太さん
「今回宇宙に上げるということで強力な加速度に耐えられるものとか宇宙空間では紫外線とか細かな宇宙特有の環境に耐えられるもの。仕様に耐えられるものを念頭に置いている」
宇宙への挑戦はこの会社にとって大きな経験となったという。
コスモスウェブ 三嶋将太さん
「まずは確実に動く回路を作る。失敗は許されない心構えが開発に関わって改めて固まった。」
そして、コスモスウェブの設計を受けて、実際に電子基板を組み立てたのが山形県高畠町の企業。
山形県置賜地方は古くからものづくりが盛んで、中でも地域の出荷額の半分近くを占めるのが情報通信機器や電子部品。その確かな技術力は宇宙産業にも活用されている。
東北エヌイーエレクトロ 吉田一行さん
「一人一人が自分の工程を熟知していて、この製品はこういう作り方がいいとか、こうしたほうがいいと作業者自ら発信して組み合わせて工程設計していく。そういうところはエヌイーエレクトロ独特のもの」
いよいよ2年後に迫った人工衛星の打ち上げ。多くの期待を受ける打ち上げの成功とともに、小林さんは東北の宇宙産業の未来を見据えている。
エレベーションスペース 小林稜平さん
「宇宙産業は大きなポテンシャルがある。急激に成長していった時には自動車産業に匹敵するくらいの市場になっていくと いうことが言われているし、そうなっていった時には、日本全国にサプライチェーンができていく。そういった世界が必ずこれから来ると思っています。我々のような宇宙ベンチャー、自治体、地元企業の連携があれば、この東北の地域をこの宇宙産業の一大拠点にしていくと、こういうことが私自身できるんじゃないかなと思っているし実現していきたい」