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【雪少なく『大暖冬』だった東北地方】ミヤギテレビ・小杉気象予報士が取材・解説 「暖冬はこの先も続くかー」「私たちの生活に影響あるのかー」

2024年3月22日 20:45
【雪少なく『大暖冬』だった東北地方】ミヤギテレビ・小杉気象予報士が取材・解説 「暖冬はこの先も続くかー」「私たちの生活に影響あるのかー」

今シーズン、宮城県内ではスキー場がわずか数日しか営業できなかった所もあるなど、雪の少ない冬となった。

ミヤギテレビの小杉浩史気象予報士が、こうした暖冬はこの先も続くのか、私たちの生活に影響があるのか取材した。

たまたま今週は寒の戻りとなっているが、去年12月から今年2月の気温を平年と比較した図を見ると、今年の冬は『大暖冬』で「東北地方は過去一番気温の高い冬」となった。

先週・取材時の小杉気象予報士リポート
「私は、川崎町の『みやぎ蔵王セントメリースキー場』に来ている。ゲレンデを見ると、雪は十分あるように見えるが、滑っている方の姿はなくリフトも動いていない」

1990年にオープンし、ピーク時には年間14万人で賑わったセントメリースキー場。

しかし、ここ数年の利用客は3分の1ほどに減り、今シーズンで閉鎖することを決めた。

先週・取材時の小杉気象予報士リポート
「こちらセントメリースキー場が営業を終了したのは、スキー人口の減少が大きな理由ではあるが、もう1つ雪不足も原因として考えられる。こちらは、宮城県内で最も標高が高い「駒ノ湯」アメダスにおいてひと冬の間に降った雪の量の推移だ。
 20年ほど前は、年間で10mを超える雪が降るのは普通だったが、近年そうした雪が降ることはなく、今シーズンはわずか3m68センチにとどまっている。

 雪の少なさが影響するのはスキー場だけではない。それは、「水資源」だ。
 宮城県内のダムは、現時点では水は十分にある。

 それと同時にあちらに見えるような山に降り積もった雪も、東北地方においては大切な水資源になる。 冬の間、山に降った雪は春から夏にかけて少しずつ少しずつとけながら川へと注ぎこんでいくため、山に降り積もった雪は天然のダムと言われる。

水を貯める役割も果たしている山肌に積もった雪。

実際にどのような効果をもたらしているのか。
ダムを管理する県の担当者に伺うとー。

宮城県・土木部河川課 長谷川清人課長
「こちらが大倉ダムの水位の曲線になります。こちらのグラフで、3月下旬から5月上旬にかけて水位がグーッと上昇するのは、ダムの上流で降った雪がとけて水位が上昇していることを表しています」

気温が上がるにつれて、自然とダムに流れ込む山肌からの雪水。
これが、多くの農業用水が必要となる田植えの時期と重なり、東北地方にとって貴重な水資源となってきた。

暖冬で雪が少ない今シーズン、田植えへの影響はあるのか?

宮城県・土木部河川課 長谷川清人課長
「今シーズンに関しては、赤い濃いラインで示していてこれまでの平均を上回っていて、現時点で渇水の大きな懸念がある状況ではありません」

3月に入り再び雪が降ったため、県によるとすぐさま水が足りなくなる可能性は低いという。

しかし、このまま温暖化が進むと将来的にどうなるかー。
気になる予測がある。

こちらは、「今世紀末の降雪量」についての予想。
赤ければ赤いほど、今より雪が少なくなることを表している。
東北地方は真っ赤で、平均すると今より70%減少。つまり3分の1程度の雪となる予想だ。

すでに「やくらいスキー場」が来シーズン営業しないことを発表するなど、このまま温暖化が進めば、今以上に苦しくなるスキー場。

私たちも水不足を気にしながらの生活となるかもしれない。

宮城県・土木部河川課 長谷川清人課長
「東北地方では雪をある程度考慮して、ダムの貯水容量を作っているが、雪が少なくなるとどういう風に今後ダムを運用していくか貯水池を満たしていくかは考えていかないとならない」