「選ばれていないチームも背負う」センバツ21世紀枠候補<仙台一高(東北地区)>
<小川郁夢キャプテン>
「東北を代表しているので選ばれていない350校ほどのチームの分も背負ってこれからやっていかないといけない」
「21世紀枠」とは困難な練習環境を克服して好成績を収めたり、地域への貢献活動に取り組んでいる学校が対象とされるもの。1月26日、仙台一高を含む全国各地区の候補9校のうち、2校が春のセンバツの切符を掴むことになる。
【原動力は2人のエース】
仙台一高躍進の原動力は“ダブルエース”の存在。最速140キロを超す本格派・エースの千葉綾太投手。そして、もう一人のエースは制球力に長けた安藤舜投手。この秋で、手ごたえを掴んだ部分もある一方、全国を目指す上で改善すべき点もあると向上心をのぞかせる。
<最速140km超 千葉綾太投手>
「自分は長いイニングを投げることが秋の段階ではできなかったので、走り込みとかで下半身を徹底的に追い込んで、安藤投手みたいに長いイニングを1人で投げられるピッチャーになりたいです」
<制球力が持ち味 安藤舜投手>
「自分の直球がまだ押し込めていないと感じたので、千葉投手くらいのストレートを持っていれば私学相手でも十分戦えると秋季大会で感じたので、この冬でスピードボールを磨いていきたい」
【130年を超える伝統 OBの支え】
今月9日、グラウンドにはあるOBの姿があった。東京大学4年生の鈴木健さん。東京六大学リーグでは“東大のエース”として活躍した。
<鈴木健さん(東京大学・仙台一高OB)
「ワンバウンドの投球は甲子園に行くと通用しないと思う。ワンバウンドじゃなくて、キャッチャーのココにスライダー、カットボール、チェンジアップを投げられるようになるとすごくいいと思う」
130年以上の歴史を持つ伝統校・仙台一高。“文武両道”の精神が受け継がれるなか、東京大学の先輩には野球以外の質問も…。
<現役選手>
「数学の点数が取れない…どういう勉強をすれば…」
<鈴木健さん(東京大学・仙台一高OB)
「テスト前の1週間でワークの問題を全部ほぼ暗記してた」
【野球グラウンドが被災…続けられる育樹活動「地域とのつながり」】
仙台一高のグラウンドがあるのは海から3kmの沿岸部。2011年東日本大震災によって、野球部のグラウンドには津波が押し寄せた。仙台市内の高校では唯一、被災した野球部のグラウンド。この経験から震災後に続けてきた取り組みがある。それは沿岸部の育樹活動。震災で失われた沿岸部の自然を取り戻すために、選手たちが定期的に取り組んでいる。
<小川郁夢キャプテン>
「先輩方から代々受け継がれている話で、被害を少しでも小さくする気持ちを持ってやっている」
【センバツへ 東北地区候補としての「自覚と感謝」】
こうした地域への貢献も認められてセンバツ21世紀枠の東北地区候補に。サクラ咲く春を信じて、仙台一高の挑戦は続く。
<小川郁夢キャプテン>
「甲子園行くか行けないかでブレるのではなく、自分たちが目標とする所に向かうためにやっている。選ばれた自覚と感謝を絶対忘れないようにしようと全員で話した。その気持ちを全員で持っている」
春のセンバツ高校野球の出場校の発表は来年1月26日。