「被爆79年 祈りに包まれた長崎の一日」被爆者と若い世代が目指す継承の終着点=“平和な世界”《長崎》
二度と繰り返してはならない79年前の惨劇。
(4歳で被爆山田笑子さん)
「目を刺すような(光景だった)。今でも覚えている」
( 3歳で被爆竹下芙美さん)
「放射能で侵された身体なのであちこち病気になったりする。原爆を忘れることができない。忘れたいけど忘れることができない」
長崎市の平和公園には犠牲者を追悼するため、多くの人が訪れ、被爆地ナガサキは早朝から祈りに包まれました。
被爆者の平均年齢は「85.58歳」に。
被爆2世たちも高齢化が進んでいます。
(父が被爆死八島 岩生さん)
「私は父を知らない。どんな父だったのか。こうやって元気に79歳まで生きていると叫びたい」
(被爆2世)
「被爆2世だと気づく、一回くらいはここに行かないといけない」
(被爆2世)
「こういうことが二度と起きてほしくない。最後の被爆地を大事にしないといけない」
今年の平和祈念式典には核保有国5か国を含む過去最多の101の国と地域の代表らおよそ3100人が参列。
長崎市は、3年連続でロシアとベラルーシの招待を見送りましたが、今年は、イスラエルも招待せず。
(4歳で被爆有田 浩雄さん)
「イスラエルが招待されていないが、彼らだって来て何かを感じると思う。すべての人に悲惨さを実感し、見てもらうことが大切」
( 親戚が被爆死中村 達見さん)
「戦争している国が何で参加するのかと。市長の判断は正しかったと思う」
G7の日本を除く6か国とEUの駐日大使らは、代理人が出席しました。
式では、この1年間に新たに死亡が確認された3200人の名簿が奉安され、長崎原爆の犠牲者は19万8785人に。
鈴木長崎市長は平和宣言で、被爆者で詩人の故・福田須磨子さんの詩を用い、核兵器廃絶は「人類が生き残るための絶対条件」だと訴えました。
(長崎平和宣言鈴木長崎市長)
「原爆を作る人々よ!今こそ ためらうことなく手の中にある一切を放棄するのだ。そこに初めて 真の平和が生まれ人間は人間として蘇ることが出来るのだ」
被爆者の代表を務めた 三瀬 清一朗さんは、
「平和への誓い」で、ウクライナやパレスチナで子供たちが命を落としているとして「戦争の愚かさから目をそらすことは出来ません」と述べました。
(平和への誓い 三瀬 清一朗さん)
「子供や孫たちが安心して過ごせる青い地球を遺していくために、孫被爆国日本こそが、核廃絶を世界中の最重要課題として、真摯に向き合うことを願ってやみません」
被爆者なき時代はすぐそこに迫っています。
(3歳で被爆田中 安次郎さん)
「同僚が亡くなっていくものでこういう人たちの分までも生きて頭を下げる機会を作ってもらって本当によかった。元気で生きていかないといけない」
(5歳で被爆川野 浩一さん)
「依然として核兵器が存在するどころか使われる危機感がますます増えている。そういう面では非常に残念。もう私たちには限界がある。そうすると私たちが続けてきた運動をどう次の世代が引き継いでくれるのか」
(1歳で被爆和田 征子さん)
「(被爆体験を)自分事として考えるような人を作っていきたい。そのためにもみんなが手をつないで頑張らないといけない」
継承を託された若い世代が“自分事”として考えてもらうために出来ることは―。
(長崎東高校2年津田 凜さん)
「直接の思い、経験を聞くことができなくなってしまっているのが現状にあってそれをどう乗り越えるかが私たちの課題」
(被爆4世 大澤 新之介さん)
「今被爆者がいるうちに一緒に手を取り合って被爆者と若い世代が一緒になって活動するといいものが生まれるのでは」
被爆者と若い世代が目指す継承の終着点=“平和な世界”に向けて。
来年で被爆から80年を迎えます。