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希少なベルガモット栽培で故郷に新たな名産を 雲仙市の兄弟がフルーツ&クラフトビールに挑戦《長崎》

2024年2月13日 7:00
希少なベルガモット栽培で故郷に新たな名産を 雲仙市の兄弟がフルーツ&クラフトビールに挑戦《長崎》

地元 雲仙市にUターンした兄弟が、珍しい果物の栽培を始めました。

柔軟なアイデアと行動力でふるさとに新たな名産を生み出そうと、挑戦を続けています。

雲仙市国見町の農園。約1メートルほどの木に黄色や黄緑色の果実が実っています。

▼ふるさとの新たな名物を兄弟で作り出したい

(渕上 桂樹さん)
「お~ これいいじゃん」

(弟 敏秀さん)
「うんうん」

イタリア原産のベルガモット。主にフレーバー紅茶のアールグレイの香りづけなどに使われる果物です。

(渕上 桂樹さん)
「長崎、雲仙市を代表するようなものとして売り出していきたいと思っている」

栽培するのは、渕上 桂樹さん39歳と、弟の敏秀さん36歳です。

元々は県外で会社員として働いていた2人でしたが、兄 桂樹さんは2011年に帰郷。

実家の農業を手伝ったのちに、2018年からは、長崎市で農家BAR「NaYa」を営んでいます。

弟の敏秀さんも、4年前にUターンを決意。その時、桂樹さんから提案がありました。

(渕上 桂樹さん)
「じゃあ、仕事はどうしようかという話になる。仕事を自分たちで作ろうかと言った」

▼体中に電撃が走った「ベルガモットの香り」

ふるさとで、何か新しいものを作ろう。

悩んでいた時、弟 敏秀さんが苗木店で見つけたのが「ベルガモット」でした。

(弟 敏秀さん)
「体中に電撃が走ったというか。こんな香り、植物から香ったことがない非常に衝撃的な体験だった」

実家の農園で栽培を開始。

まったくノウハウもない中、インターネットで調べたり、市や県の担当者などにアドバイスをもらいながら、3年前に栽培を始め、去年9月に初めて80キロを収穫しました。

(弟 敏秀さん)
「自分の中では、うまくいったかなと思っている。今が成熟している色。秋ぐらいは、鮮やかな緑色をしている」

日本では、ほとんど栽培されていないという「ベルガモット」。

実っただけでは収入は得られません。

▼ベルガモットを使った大人向けの商品を考案

そこで2人が考えたのが・・・。

ベルガモットのクラフトビールです。

長崎市の醸造工場に依頼して、去年11月に商品化しました。

桂樹さんの農家バーなどで販売したところ、500本が3か月ほどで完売したそうです。

(青木 雄大アナウンサー)
「新しい。柑橘系のさわやかな香りの後に、独特の苦みがほんのり広がる。美味しい」

甘く清涼感があるベルガモットのビールの開発に、醸造する側も・・・。

(O/A NAGASAKI CRAFT BEER 三浦 京子醸造責任者)
「ベルガモットの香りの高さは、とにかくトップクラス。やってみたいと思った」

現在は、工場で「第2弾のビール」を生産しているそうです。

▼地元への売込みで目指すは「雲仙市の新たな特産品」

(渕上 桂樹さん)
「こんにちは渕上です。きょうはよろしくお願いします」

クラフトビールの販路を拡大しようと、各地で営業活動も行っています。

この日訪れたのは、雲仙市の旅館です。

(渕上 桂樹さん)
「雲仙市に観光に来てくれる人は、地元ものを飲みたいという方が多いと思う。これが雲仙市の香りかと楽しんでもらいたい」

(旅館末廣 古賀 理代 女将)
「どこで客との会話の突破口を開こうかと思う。なので、そういう物語があれば、なおお客さんと話をするのにもモッテコイ」

見事、取り扱ってもらえることに。

旅館の女将も、地元を盛り上げるきっかけになればと話します。

(旅館末廣 古賀 理代 女将)
「この話を聞くと、飲んだ後も長崎の思い出としてお飾りができると思った。そういうお手伝いはしたいと思った」

クラフトビールの販売も、軌道に乗ってきました。

2人には、もう1つ抱き続けている大きな夢があります。

▼日本最大のベルガモットの果樹園に そして新たな雇用創出の場に

(渕上 桂樹さん)
「ベルガモットの果樹園として、日本最大の農園が誕生する予定。みかんとか他の柑橘と同じくらいになる予定」

果樹園をつくることです。

雲仙市の耕作放棄地に目をつけ、市から借り上げました。

4年前には、雑草が生い茂っていた約4ヘクタールの場所を、半年かけて整備。苗木を植えられる状態にしました。

(弟 敏秀さん)
「ものすごく大変な作業だが、ここをどうにかしてベルガモットの谷にするぞという気持ちの方が強かった」

(渕上 桂樹さん)
「自分たちだけじゃなくて、できればもっと若い人や次の世代、その次の世代もできるような仕事を作れたらいいと思って」

2人の行動力に土地を貸した市の担当者も驚いています

(雲仙市農林水産部農林課 宮本 忠房課長補佐)
「渕上君たちのパワーとやる気と発想力というか。我々行政側も刺激というか、頭をそういう方向に向けながら、地域活性化につながるアイディアをもらいながら、ここがいい事例になって波及していけばいい」

3月ごろに、実家近くで育てている400本の苗木を移動させ、ベルガモットの本格栽培を始める予定です。

(弟 敏秀さん)
「ベルガモットと言えば長崎!というふうにしていきたい。柑橘系の栽培も極めていきたい」

(渕上 桂樹さん)
「香りは思い出に直結する五感の一つ。旅行が終わった後に、(観光客が)地元に戻ってこれは雲仙で飲んだベルガモットだな、また行きたいと思ってもらうのが、私の狙いです」

地元・雲仙に新たな名産を。2人の挑戦は続きます。